展望台で1時間ほどゆっくりと過ごしていた。
すると警報が鳴った。あの『昔』に何度も聞いた警報を
『ウーン、市民の皆様は速やかに所定のシェルターに避難してください』
街頭放送でそう告げられ、同じように展望台にいた人々は一番近いシェルターへと避難して行った
「カオリちゃん。僕たちも怪しまれないように避難しよう」
「はい。そうですね」
確かにこのまま展望台で風景を眺めていたら怪しまれるだろう
ましてや、私達は『仮』の身分でこの場所にいるのだから
私とユウさんは、他の人と同じように展望台近くのシェルターに避難して行った
シェルターに着くと、そこには数多くの人々が避難していた
その中で、私は最悪の人を見かけた
「ユウさん、このシェルターから今すぐに出ましょう」
「でもカオリちゃん、今は」
「お願いします」
私の強い言葉に仕方がないといった表情で付き合ってくれた
シェルターの出入口はロックされていたが、手動で解除した
そして外に出た。すると後から慌てて後をつけてくる足音がした
私はすぐにシェルターのドアを閉めると外側からロックした
「すぐにどこかに逃げましょう」
「事情は後で説明してくれるよね」
「はい」
私とユウさんは車に乗り込むと、ユウさんは大急ぎでエンジンをかけると車を急バックさせて、さらに急発進させた
そして、展望台から降りていった。
「さて、これからどうしようか」
「一度ホテルに戻りましょう。そこで事情を説明します」
「わかったよ」
私達はホテルに戻っていった
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ホテルに着くと先に部屋に上がっておいていいよといわれた
フロントでカードキーを借りると20階の2015号室に戻った
しばらく部屋でのんびりしているとドアをノックされた。
私は何の警戒もせずにドアを開けるとそこにはさっき見た最悪の人物が立っていた
私はとっさにドアを閉めようとしたが、向こうが足を挟んできた
「少しだけ話ができないかい?」
「わたしとあなた、話すことがあると思う?」
そんな問答をしているうちにユウさんが戻ってきた
ユウさんは瞬時に状況を理解し、足首に装着しているリボルバータイプの拳銃
それをその最悪の人物の頭に突きつけた
「それ以上、彼女に何かしてみろ。お前の頭が吹っ飛ぶことになるぞ」
いつもとは違い、鋭い気配を漂わせるユウさんに私は戸惑いながらも
援護してくれたことに感謝していた。
「誤解をしないでもらえるとうれしいね。僕はただ彼女と話しをしたいだけだよ」
「その彼女が嫌がっているのに無理やり話をしようとするのが君のやり方か。俺なら一発殴ってやるところだ」
次の瞬間、ユウさんはそいつの首を少し強く『トン』と叩くと相手を気絶させた
そのまま彼を抱き上げると部屋内に入れた。今この場を見られれば不審者として通報されかねない
仮にも第三新東京市警察の刑事の2人がホテルで誰かと一悶着起こしているなど
通報されたら、それこそ最悪な結果になりかねない。やむをえない方法だった。
気絶させた人物、それは渚カヲルだ。
彼は私にとって最悪のジョーカーであり、もっとも会いたくない人物でもあった
ユウさんはカヲルを自分のベットに寝かせると、説明してくれるよねといった
「私は彼を撃ったから、今、見つかったら面倒なことに」
「それなら、しばらくここに彼をかくまうしかないね」
そう、彼からネルフに情報が漏れる可能性は限りなく100%あった
「とにかく、ルミナさんに連絡しておこう。話はそれから進めよう」
ユウさんはそう言うと携帯電話を取り出すと電話帳に登録しているのか
簡単にルミナさんの携帯電話に連絡を取っていた
「ルミナさん、少しトラブルが発生してね。大至急ホテルに来てくれないかな。今すぐに」
電話の向こうでルミナさんが何を話しているのかは聞こえなかったが
すぐに来てくれる事だけは分かった