電話をしてから30分後、ルミナさんはあわてた様子で部屋に現れた
そして室内にいる渚カヲルを見て事情を察したようだった
「そういうこと。電話で詳細を話さなくて正解よ」
第三新東京市内では電話はすべてMAGI経由になっている
つまり盗聴されているということだ。
もっとも一般市民は知らないことだが
ユウさんはルミナさんにただホテルに来るように言っただけだった
他には一切詳しい内容は言わずに
「それでどうするの?」
「隣に部屋を借りれるかな。僕たちはそっちに避難するっていうのはどうかな?」
「いまさら手遅れよ。どうやら目を覚ましているようだしね。そうよね。盗み聞きが下手くそなネズミさん」
するとベットに横になっていた渚カヲルが起き上がった
「なんだい、いつから気づいていたんだい」
「はじめからよ。それとカオリ、彼に銃を向けるのはやめなさい」
私はとっさにベレッタM92を手にして渚カヲルに向けていた
無理もないことだが、やめろといわれて簡単にやめれるわけはない
「渚カヲルは信用できない」
「カオリ、彼は私達の協力者よ。だから銃をおろして」
ルミナさんは私は説得しようとする
でも私は到底受け入れることはできない
私は銃口を渚カヲルに向け続けた
「碇シンジ君「その名前で呼ばないで!私は水川カオリよ!」
彼の言葉を遮り大声で怒鳴るかのように叫んだ
「水川カオリさん、君が僕を撃った事をネルフには報告していない。それが証拠にならないかい?」
あのときの事件、悪夢だと思いたい出来事
確かに報告していないなら少しは信用できるかもしれない
その時ルミナさんが会話に口を私達の会話に口を挟んできた
「彼は味方よ。私達のね。それは保障するわ。だから銃をおろして」
ルミナさんが言うなら間違いないだろう。
私は銃口を渚カヲルから外して、銃にロックした。
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4人、1部屋に集まった私達。
渚カヲルはユウさんに自己紹介をした
「フィフスチルドレンの渚カヲルです。よろしく」
渚カヲルは手を差し出した。
ユウさんも手を差し出し互いに握手を交わした
その様子を私は不満げな表情で見ていた
私にとってネルフは敵だ。それも史上最悪なくらいな。
そんな相手を敵にしようとしているのに、
敵の仲間である渚カヲルとすぐに仲良くなれとは無理な話だ
ましてや、『昔』、一度裏切られていれば当然のことだ
「私はあなたのことなんか、だいっ嫌いだから」
「どうやら僕は、相当嫌われているみたいだね」
「相当じゃなくて、かなりよ。今すぐにでも殺したいくらいにね」
「それは遠慮してほしいね。僕も今は生身の人間だからね」
確かにそのとおりだ。昔の使徒だったら話は別だが
今は生身の人間だ。銃で撃たれれば場所によっては死に至る
「そうね。ちゃんとしておいたあげたからね」
なにをちゃんとなのかは私にしか分からないはずなのだが
渚カヲルにはそれが何かを理解したようだった
「その件に関して感謝してるよ」
「感謝される覚えなんてないわよ」
私はぶっきらぼうに返事をするだけだった
「それじゃ、彼も交えて話し合いをしましょうか」
「冗談ですよね?ルミナさん」
私はルミナさんの発言に耳を疑った
敵のど真ん中にいる人物を交えて作戦会議をするなんて
「彼は味方よ。私達の協力者。カオリ、それだけは信じて」
念押しされるかのように言われて、私は仕方なく頷いた
これから世界の運命が決めるかもしれない作戦会議の開始だ