銃口を碇ユイに合わせると

「死んでください。これが彼のメッセージです」

「カオリちゃん!」

『バンっ』


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発砲をしたが的はおおはずれ、まったく別の壁に当たった
はじめから彼女を殺すつもりなんてなかった。ただ、本心を聞きたかっただけだ
その結果がこれだ。ルミナさんが聞いたら何というか

「今のちょっとした冗談です。でも伝言は本物です」

「シンジが本当にそう言ったの?」

碇ユイは信じられないといった表情を浮かべていた
碇ゲンドウも同じく

「そうです。私達は彼の代弁者です。嘘はつきません」

そう、私の心からの本心
あの悲劇の出来事を生み出した元凶
そんな人間を誰が喜んで歓迎するだろう
むしろ殺したと思うのは当然のことだろう
あの赤い世界では
覚えているのは惣流・アスカ・ラングレーぐらいだろう
彼女も断片しか分かっていないだろう
本当の真実を知っているのはここにいるメンバーだけだろう

「どうしてあんな計画を推し進めたのですか。碇ゲンドウさん」

「すべてはユイに会うためだった」

「それは息子、碇シンジを犠牲にしてもですか」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「沈黙は肯定とみなしますよ」

「そうだ」

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「碇シンジは一時神にも等しい立場になったがそれを放棄した」

「その結果生まれたのは赤い海と白い砂浜の世界」

「あなた方にとっては理想の世界だったんでしょうけど、彼にとっては地獄のような世界だった」

「ずいぶんと饒舌なのね」

「先ほども述べましたが、私達は碇シンジの代弁者。質問があれば受け付けますよ」

私はぶっきらぼうにそう言った。
本心を答えてやる必要はない。
ただ、質問に答えてやれば良いだけだ

「シンジは今はどこにいるの?」

「碇シンジは死にました。だから私達が代弁者として来ているのです」

「どういう死に方をしたの?」

「あなた達には想像もつかないでしょうけど、自殺ですよ。私達はその場を偶然立会い、それを手伝っただけです」

その言葉に碇ユイは切れたかのように言葉を発した

「どうしてとめてくれなかったんです!とめてくれればもしかしたら」

「彼の決意が固かったからです。だから手伝った。それだけの話です」

他に質問はありませんかといった。
すると今度は碇ゲンドウが質問をしてきた

「シンジの墓はどこにあるのか?」

「彼の墓はありません。自殺後、火葬にして骨は大海原に撒きましたので」

私の中での碇シンジはもう死んだも同然だ。
嘘と真実を交えながら真実っぽく言えば、それが真実になる
たとえそれが完璧な嘘であってもだ

「質問は以上ですか?」

「1ついいかしら」

碇ユイが聞いてきた。
質問の内容は容易に想像が付いた

「あなたは何者なのかしら」