「私は水川カオリ、海岸の町に住むただの小娘よ」

「その小娘さんがどうして、私の息子のシンジのことをよく知っているのかしら?」

私はその時、しゃべりすぎたと思った
その時、ユウさんの携帯電話がなった
視線で私に合図をすると電話に出た

「相葉ユウです・・・・・・・・・・・・そうですか、情報提供感謝します」

「どうかしました?ユウさんは」

「どうやらこちらのお2人は約束を守る気はないようですね」

ユウさんが近づいてきて、耳打ちで話を伝えてきた。

「周囲を保安諜報部が取り囲んでいるみたいだよ。どうする?」

「2人も人質にしましょう。あとは出たとこ勝負ということで」

それしか方法はなかった。
出たとこ勝負だといっても、分は明らかに悪い

「周囲を保安諜報部の方々が取り囲んでいるそうです。これはどういうことかご説明できますか」

「私達の指示ではないわ」

「説明になっていませんが。すぐに撤収するように指示して下さい。さもないと」

私は銃口を碇ユイのほうからベットに腰掛けた状態で座っている渚カヲルの頭に銃を突きつけた

「わかった。そちらの要求を呑もう。他に何か要求はあるかね」

「私達の身の保証。ここから出た瞬間、蜂の巣なんていうのは嫌ですから」

その要求にも2人は応じた。碇ゲンドウは携帯電話を取り出すとどこかと電話を取り始めた

「私だ。すぐに第三新東京市市営住宅第22番建設職員用団地から保安諜報部を撤収させろ。これは命令だ」

数十分後、再びユウさんの携帯電話がなった
1分間ほどで通話を終えると電話をポケットに片付けた

「どうやら本当に撤収させたようですね。さすがは碇司令だと言ったところでしょうか」

「君たち以外にも仲間がいるのかね」

「ネルフ内部にも僕たちに協力してくれる方がいらっしゃるので、そちらの情報は筒抜けです」

ユウさんがそう言ったが、本当はネルフ監察局だ
だが真実を話す必要はない。今大事なことはこの状況をどうやって切り抜けるかだ

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私はユウさんに近づくと耳打ちをした

「3人を人質にするにはリスクが大きすぎます。人質は渚カヲルだけで十分です」

私の言葉にユウさんは頷いた

「どうやら今回の勝負はここで幕を下ろさないといけないようですね」

「逃げ切れると思っているのか。我々ネルフから」

「プランはいろいろと考えています。ひとまずお2人には後手錠をしてもらいましょうか」

私はベレッタM92をホルスターに戻すとボストンバックから手錠2つを取り出した。
そして碇ユイと碇ゲンドウの後ろに回ると後手錠をかけた

「どうするつもりだ」

「あなたたちにはここにいてもらう。出入口には無線式の爆弾をセットしてある」

ユウさんの言うとおり、出入口のドアには携帯電話で作動する爆弾をセット済み。
さらに部屋を監視するための盗撮機もセットした
逃げ出す準備は着々と進行していた。

「渚カヲルは私達の保険として預かるわ。私達の安全が確保されたら解放する」

私の言葉に2人は頷いた。

「もし、もう1度私達の前に現したら、そのときはどんな手段を使ってもあなた達を殺すわ」

これは本気だ。
私には今はもうこの2人には愛情などない
信頼関係も何もない

「それじゃ、僕は先に退散させてもらうよ。車で待ってる」

ユウさんがそう言うと渚カヲルを連れて部屋を後にした。

「あなたが本当の碇シンジなんでしょ」

碇ユイがそう言ってきた。
その言葉に私は思わずホルスターから銃を抜きそうになったが、何とか踏みとどまった

「碇シンジは死んだ。ただそれだけは真実」

「でもあなたは生きてる。あなたと一緒に話がしたいの。5分だけでもいいから」

「いいわ。5分だけね。何が聞きたいの?」

「どうして嘘をつくの?」

嘘、確かに私は嘘をついている。
でも、それをつき続けるしかない。