検問所は相変わらず混雑していた。
そんな中ようやく私達の順番が周ってくると、来たときと同じように第三新東京市警察のバッジを見せた
向こうは、来たときと同じようにほぼノーチェックで通過させてくれた。
そこで私はユウさんから携帯電話を借りると、あの部屋に設置された爆弾に接続されている携帯電話にかけた
かけ方しだいで爆弾の起動も解除もできる優れものの携帯電話だ。
数秒後、無事に解除されたのを確認すると後部座席からノートパソコンを取り出し、監視カメラを起動させた
すると、爆弾が解除されたと同時に踏み込んだのであろう、大勢の人物が映っていた

「どうやら敵さんは無事に大切な者を回収し終えたようです」

「そう。それにしてもよかったのかな。君にとっては」

「私にとっては最良の結果です。これで安全が確保されたならの話ですけど」

「ネルフはしつこいからね。何かあったら君の家の電話をするよ。僕にもネルフ内部に協力者はいるからね」

その言葉に私は驚きの表情を浮かべた
まさか本当にネルフ内部に協力者がいるとは思いもしなかったからだ
だが、これは宣戦布告に近い行動だ。
きっとネルフは何か大きな一手を打ってくるはずだ。
もっとも今の碇ゲンドウと碇ユイが本気でそこまでやる気があるかどうかは分からないが

「もう私にとってネルフは過去の存在です。ただカビと同じでいつまでも付きっぱなしの過去ですけど」

「そうだね。僕もネルフとは少し因縁があるからね。今日のゲームはなかなか楽しめたよ」

「ゲームですか。確かにそうかもしれませんね」

これからの数日、ネルフがどう出てくるのか
そしてネルフ監察局のルミナさんがどう動いてくるかで私の運命が決まる

「いつでも勝負は受けて立つ用意はしておきましょう」

「そうだね」

そう言いあいながら私達は海岸の町へと戻っていった

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海岸の町に到着した頃には夕方になっていた。
ユウさんは私を旅館の前まで連れて行ってくれた

「ユウさん、今日の一件。本当にお世話になりました」

「気にしなくてもいいよ。僕も久々の楽しいゲームだったからね。それと」

これは君が持っておいた方が良い
ユウさんはそう言ってベレッタM92と弾50発の入ったケースを手渡してきた。

「ありがとうございます」

私はそれを素直に受け取った。これからネルフがどんな行動を示してくるかわからない
そのための予防対策には銃しかなかった

「カオリ!」

その時、旅館に着くと同時にお母さんが出迎えてくれた。少し遅れてお父さんも出迎えてくれた

「どうだったの?第三新東京市は」

私が答えようとしたとき、ユウさんが答えてくれた

「しばらくはネルフの影も落ち着くでしょ。でも、どんな強硬手段に出てくるかわからないから気をつけてください」

確かにその通りだ。今のネルフは脅しが利いているがいつかは暴発するだろう
そのときは旅館の人まで巻き込むことになる。それだけは絶対に避けなければならないことだ
私は、この場所を守る義務があるのだから。私の唯一の居場所。世界でたった1つの居場所なんだから
私は車から降りるとお父さんとお母さんは私が銃を持っていることに驚いていたが
すぐに事情を察したようで、お母さんが布を差し出してきた

「これで隠して部屋まで持って帰りなさい」

「ありがとう、お母さん」

私はベレッタM92を布でくるむと旅館の中に入っていった。
後ろではお父さんとお母さんがユウさんと何か話をしていたようだが
今は特に気にしなかった。今はもう疲れて眠りたい一心なのだから