僕はカオリちゃんが旅館の中に入ったのを確認すると、ご両親に状況説明をした
より詳しく、そして今後起こる可能性のある出来事も含めて。
それでもご両親はカオリちゃんを守りきると断言した。
僕はよっぽど愛されているのだなと実感した
話をある程度済ませると僕も自宅に戻ることにした

「今日はいろいろあって疲れたな」

確かにその通りだ。今日1日で僕の寿命は半分くらい短くなるくらいの危ない橋を渡った


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ネルフ監察局 局長執務室

局長執務室では局長である蒼崎とルミナ。
そして渚カヲルが集まって応接セットに座って話し合いをしていた

「今回の1件。もみ消しは困難な上、碇ゲンドウ、碇ユイまで巻き込むとはもう少しおとなしくできないのかな」

「水川カオリが望んだことです。遅かれ早かれ同じ結果になったはずです」

ルミナの言うことは確かだ。
今回の1件は遅かれ早かれ発生するケースだった
今回はそれが早かっただけだ

「ネルフはしばらくはおとなしくしているようです」

渚カヲルが話しはじめた。今回彼はネルフ内部の情報提供が目的だ
カヲルは完全にネルフを裏切っている状態なのだ
これはこれで問題があるのだが
今は仕方がない

「君の情報はありがたいよ。これからもそうやって情報交換ができるとうれしいね」

蒼崎が笑みをこぼしながらそう言った。
たしかにそうだろう。ネルフ内部に情報ルートができれば
それはネルフにとっては悪夢のような出来事だろうが

「僕もです。監察局と情報交換ができるなら安心して彼女に会いにいけます」

「やめておきなさい。次に会いに行ったときは殺されるわよ。あなた」

確かにその通りだ。次に行ったら、カオリによって確実に殺されるだろう


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ようやく自分の部屋に戻ってきた
自分の居場所に帰ってこれた。
それだけで感無量だった。

「これからしばらくは平和な日々が過ごせそうね」

確かにその通りだ。
私はこれからしばらくは平穏な日々が過ごせる
でも、いつまで平穏な日々を過ごせるかは分からない
ただいまは、布団を敷いて早く休みたいと思った
今日はなによりも数多くの出来事があった

「ひとまず布団を敷いて、お風呂に入って寝ましょう」

私はまず押入れから布団を取り出すと寝る準備を整えた
その時、枕の下にベレッタM92を隠した。いつ何時、襲われてもいいように
そして寝巻きの浴衣を手にすると大浴場に向かって歩いて行った
その途中でユリさんに出会った。ユリさんは私を見ると抱きついてきた

「無事に帰ってこれてよかったわね」

その言葉に私はまた喜んでしまった。まだここには私を愛してくれる人がいる
だからこそ私はこの場所を守ろうとする。それもどんな手段を使っても守ろうと決めた

「ちゃんと帰ってきたよ。ユリさん」

「そうね。私達は必ず待ってるから。いつでもね」

何を待っているのかは分からないが、ユリさんたちが仲間であることは認識できた。
ここには敵はいない。私達だけの平穏な世界。都会から隔絶された空間なのだ
それを大事に思いながら私は大浴場に向かった