僕はルミナさんとティアさんを自宅まで送ると自分の家に帰っていった。
そして自宅の地下室に入ると、そこにはどこかの小国と戦争ができるんじゃないかって言うぐらいの武器弾薬がそろっていた
その中から1丁、[ SIG SAUER SP2022 ]を取り出すと一度完全に分解して、再度組み立てなおす作業を行った
銃の分解と組み立てを行っているときは何故だか一番落ち着く。それは戦場で今まで過ごしてきたからだろう。
銃を簡単に組み立て直され、マガジンを挿入してスライドを引くと薬室に弾が装填された
これであとは引き金を引くだけで弾が発射される。
僕は武器弾薬庫に併設されている射撃訓練施設に行き、組み立てなおしたばかりの銃で射撃訓練を行った
ここ最近は銃に触れる機会も一気に増えたので、感を取り戻しておく必要があると感じたからだ

「まぁまぁだな」

僕の言葉通り、発砲した銃弾の大部分はターゲットマークの中心部分を射抜いていた。
ただ初弾は大きく外していた。これは腕が落ちたということだ

「僕も腕が落ちたかな」

そう呟くとマガジンを抜き、マガジンに弾をこめると再び銃に装填。
新しいターゲットマークを設置すると距離をとらせて、再び発砲した
今度は全弾、ターゲットマークのど真ん中を中心に的中した

「今度は完璧だな」

確かにそのとおりだ。その時、僕の携帯電話に着信があった
相手はカオリちゃんだった

「カオリちゃん、どうしたんだい?」

『前から聞きたかったことがあったんです。でも直接聞く勇気はなくて』

「それで携帯電話を使ってきたのか。何が知りたいんだい?」

『どうしてユウさんは私にそんなに協力してくれるんですか?』

それは彼女がずっと聞きたかったことなのだろう。
でも聞けなかった。答えが怖くて。僕も答えるのが怖い。内心は
でも、正直に答えることにした

「君のことを愛しているからだよ。本当の意味で」

『信じて良いんですか?』

「僕は君のことを愛している。本当の意味でね。だからどこまでも付き合うよ。例え、行き先が危ないところでも」

電話の向こうで沈黙が続いたが、涙を流しながら話しているような声が聞こえてきた

『本当にありがとうございます。ユウさん。ネルフ関係の件が片付いたら、一緒に考えてみませんか。将来のこと』

「そうしよう。ネルフ関係のことが片付いたらな。それじゃ、もう夜も遅いし、おやすみ」

『おやすみなさい。ユウさん』

その言葉にかすかに愛情を感じてしまった僕は病気なのかもしれない
彼女と僕だけに感染した病気。恋の病だ。

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あの話し合いの翌日の朝。
私はいつも通り9時に起床した。
布団を押入れに片付けると旅行の準備を始めた。
ボストンバックを出し着替えを入れて、もちろん昨日分解して組み立てた銃も忘れずに腰のホルスターに装備した。
そして腰には第三新東京市警察のバッジをつけていく事を忘れずに。
そうしていると私の部屋のドアがノックされた

「はい、今は大丈夫ですよ」

「俺だ。入るぞ」

声の持ち主はお父さんだった。
お父さんは部屋に入ってくると、私がまた旅行の準備をしていることに驚きの表情を浮かべていた

「カオリ、またどこかに行くのか」

私はありのままを話した

「過去を清算してくるの。これで最後の過去を」

お父さんはそれだけで私がどこに行くのか理解したようだった

「第三新東京市に行って、また戦ってくるのか」

「うん。これですべてにけりがつくと思う。だからお母さんにも伝えておいて。必ず帰ってくるからって」

その言葉にお父さんは珍しく目元に涙を浮かべていた
そして私を抱きしめた

「必ず待ってるからな。例えどれだけ時間が経とうと」

「そんな大それたことにはならないから安心して、私の居場所はここ。それは絶対に変わらないから」

そう、私の居場所はここなのだ。
この旅館の一室であり旅館であり、海岸の町が私の居場所なのだ
それはこの先ずっと変わることはない不変なのだ

「お母さんにも伝えておいてね。必ず帰ってくるから」

「わかった。母さんには俺から伝えておく。お前はしっかりと過去と向き合って来い」

「はい!」

私は旅行用のボストンバックを持って自分の部屋から出て行った。
うしろではお父さんが泣くのをこらえているのがなんとなく分かった