翌朝7時、いよいよ作戦実行の日だ。
私は前のときと同じように妙な興奮状態で迎えていたが
ユウさんに鎮静薬をもらって落ち着きを取り戻しつつあった
「それじゃ、そろそろいきましょうか?」
「そうだね」
少し早いが私はアスカの携帯電話に連絡した
『だれよ、こんな時間に電話してくる奴は?』
「相変わらずの口の悪さ。直したらどうですか、惣流・アスカ・ラングレー」
私はあくまでも高圧的な態度で臨むことにした。
そのほうが、得策だと考えたからだ
『あんた、誰よ?』
「碇シンジに会いたくない?私が匿っていたけど、彼もあなたと会いたいといってきたわ」
『それ、信じても良いのね』
「信じるか信じないかはあなたしだい。もしこの件をネルフや誰かにしゃべったらその時点で取引は終了」
『そうしたらどうなるの?』
「あなたは一生碇シンジに会うことはできない。どうする?」
向こうで数秒の沈黙の後、分かったと返事が来た。私がユウさんのほうを見ると、そちらもOKの返事をもらえたようだ
「それじゃ、8時に第三新東京市市営住宅第22番建設職員用団地6号棟の402号室に来なさい」
『わかったわ。すぐに向かうわ。その代わりうそだったらこっちも黙ってないから』
「来れば分かるわ。それじゃ、またね」
電話を切るタイミングは私もユウさんも同じタイミングだったようだった。
「これでパーティーの準備は完了したわけだ」
「そうですね。これからが本当の戦いですね」
---------------------------------------------------------------------
午前8時、約束の時間だ。
最初に現れたのは碇レイだった。
「碇レイさん。お久しぶりね」
あの時とは違って今は冷静に対応できている。あの時、それは碇レイの首を絞めたときのことだ
「こんにちは、お誘いはあなたからでしたか」
「そうよ。碇シンジの真実を知っているのは今ここに居るメンバーの中ではあなたとユウさんだけ」
「それで碇シンジにはどうやって会わせてくれるの」
「私はあわせるとは言ったけど。だれも本人とは言ってないわ。ただ遺言を伝えるだけが役目なお人形なのよ」
かつて、アスカがレイのことをお人形と評したように、今回は私がお人形の番だ
そこに駆け足で廊下が走ってくる音が聞こえた。そして乱暴にドアを開けた
「バカシンジ!」
バカシンジと呼ぶのはただ1人、アスカだけだった。これで面子はそろった。
「それじゃ、お話を始めましょうか。碇シンジについて」
それは地獄の扉を開けるようなもの。でも、パンドラの箱でも最後に残ったのは希望だ。
その希望すらも私は壊そうというのだ。残酷な女だといわれても構わない。それが宿命なのだから