玄関ドアが開かれると私はユウさんとティアさんに挨拶をした

「こんにちは。ティアさんはお久しぶりです」

ティアさんと会うのはあの『事件』以来だった。それ以降はまったく接触していなかったから

「もしかして、私ってタイミング悪かったですか」

思わず言った言葉に私はしまったと思ってしまった。これではドアの外で聞き耳をたてていたということがばれてしまうと
3人も感づいたようで、居心地悪そうな態度をしていた

「大丈夫ですよ。気にしてませんから」

私はますますどつぼにはまっていっていると感じた。これじゃ完全に話しの内容を聞いてましたと公言したに近い

「カオリちゃんに隠し事をしても仕方がないね。ティアさんは旅行には反対なんだって」

ユウさんのストレートの意見にティアさんは居心地悪そうな態度を示した。

「どうして反対なんですか」

私のストレートの質問にティアさんは迷いながらも答えてくれた

「今はネルフが少し動きがあってね。最新情報によるとあなたを捕まえようとしているみたいなの」

ティアさんの率直な答えに、私は戸惑うことはなかった
あれだけのことをしたのだ。追われているのは当然のことだろう

「この町にいれば私達が守れるわ。でも町から出てしまうとどうしようもないの」

それでも私は見てみたいのだ。生まれ変わった広い世界を

「どうしても行ってみたいです。生まれ変わったこの広い世界を見てみたいんです」

私の率直な答えにティアさんは悩み始めた
きっとティアさんは私の安全を第一に考えてくれているのだろう


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「わかったわ。許可する代わりに条件があるわ」

「何でも飲みます」

「私も随行するわ。そのほうが安全が保障されやすいし、あなたを守りやすい」

それは確かにその通りだ。
一緒にいるほうが守りやすいというのは当然の論理だ

「私はそれでもかまいません。ユウさんはどうですか」

「僕もかまわないよ。美人な女性2人と旅行できるなら大歓迎だよ」

私は美人の部類に入るのだろうか。ユウさんが言うのだからそうなのだろう
私は自分のことを美人だとは思ったことはない。罪にまみれた人間としか認識できない
人としては欠陥品なのかもしれない

「それじゃ、とりあえずどこに行きたいのかしら」

ティアさんがリーダーシップを発揮して、旅行プランを練り始めた
私は特に行きたい場所がこれといってあるわけではない
ただ、広い世界を見てみたい。それだけの願望なのだ

「それじゃ、第2東京市に行ってみようか。カオリちゃんも行ったことないでしょ」

確かに行ったことはなかった。『前』の僕のときも、今の私になってからも。
買い物はいつも第三新東京市で済ませていたから行って見たいという願望が生まれた
一応、日本の首都でもあるし、一応とつくのは、第三新東京市が将来遷都される予定となっているからだ

「行ってみたいです!」

私が元気よくそう言うと2人は笑った
いつになるかは決まってはいないが、行き先は決まった
だが1つ問題があった第2東京市に行くには必ず第三新東京市を経由していかなければならなかった

「その点なら大丈夫でしょ。あなた達は休職中の第三新東京市警察の刑事のままだから」