ユウさんの家、最近になってこの家に来るのも慣れてきた
1つの例外と言えば射撃訓練設備があるという事だ
旅行の計画がある程度計画を決めるとそこで銃の射撃訓練を受けていた

「良い腕だね」

そうですかと私は聞くとユウさんはそう答えた
確かに射撃訓練としては良い腕だろう。
でも実際に人を殺すのとはわけが違う

「相変わらず射撃訓練での腕はいいわね」

ルミナさんもそこにいた。
彼女も射撃訓練をしていたが私よりも腕は良かった

「ルミナさんの方が腕がいいですね」

「私は訓練を受けた戦士だからね当然よ」

「私はまだまだですね」

「あなたが強くなる必要なんてないわよ。ここは安全な町なんだから」

「見守られているからですか?」

ルミナさんはいつ気づいたの質問で返した

「ここ最近です。この街に来るのはいつも普通の人。こんな私の姿をしているのにネルフの人間は一度も来なかった」

私はいつからか気づいていた。
この町は少しおかしいと。
私の姿をしていたらいろいろと噂を聞き付けた人間がいるはずなのに
そんな人物はいなかった。私が今まで気づかなかったこと
それをようやく自覚したのだ

「あなたは守られているのよ。この町のみんなから。誰も危害を加えられることはないわ」

「でもどうして。どうしてそこまでするんです」

「それは・・・・・・私には答えられないわ」

「どうして答えてくれないんですか!」

「カオリちゃん落ち着いて」

ユウさんが私を止めようとしたが私はどうしても真実を知りたかった
しかし彼女は何も答えることはできないの一点張りだった
どうしてなのかわからない。私はまだ『あの時』から逃れる事ができないのかもしれない
あの時の事は今でも忘れることはできない。『神様』はこの見捨てた世界を私に託した。
どうしてなのかはわからない。それに私は何かが欠けているかのように感じていた

「カオリちゃん、今は落ち着いて。家まで送るから」

ユウさんの言葉に私は分かりましたと言うと、とりあえずその場から去ることにした
私は聞き取ることはできなかったが、ユウさんは聞いていた
ルミナさんの言葉に

「あなたのためなのよ」

そう言っていたとのちに聞いた
私はユウさんのSUV車に乗り込むと自宅である旅館まで向かっていった

「ユウさん。神様がいたらどう思いますか?」

「僕にはわからない事だよ。神様がいたらきっと今のこの世界の事を嘆き悲しむだろうね」

「どうしてですか?」

「君みたいな綺麗な人を悲しませる人がいる事を知ったらね」

ユウさんは私の事を茶化すかのように言った。
私の頭を軽く触り撫でた。

「君の事は僕は信じているから」

ユウさんはそう言うと自宅の旅館の前に到着するとついたよと言ってきた
私は内心では彼と離れたくないように感じたが、家に着いた以上仕方がない

「それじゃ、旅行のプランはまた明日にでも」

「今度は僕が君の家に行くよ」

「そこまでしてもらわなくても」

「今回は君が来てくれた。そのお返しだよ」

そう言うと私はSUV車から降りると自宅の旅館に戻っていった

「ただいま」

受付ではお母さんが待っていた

「また火薬のにおいがするわよ。お風呂に入ってきなさい」

お母さんに隠し事はできないようだ。私も詰めが甘いみたい
お母さんの言葉に私は了解ですと面白く返事をするとお母さんは私の頭を撫でた

「まったく。悪い子ね」

そう言うと受付に戻っていった。私は自分の部屋に戻るとお風呂に入った。
そして外の風景を見ながらゆったりと木でできた浴槽に浸かった
この部屋のお風呂は外から中は見えないが中から外を見ることはできる小窓がついている
そこからは夕日が見える。晴れていればだが
私はその夕日が好きだ。とても
かつての自分は私はまだ生きているという実感が得られたことがなかった
しかし今は違う。これでようやく本当に自分の、私の人生を生きていくことができる
例えそれが僕だけがいない街の話だとしても、今の私には関係のない話だ
今は私は碇シンジではない。水野カオリなのだ
助けてくれる人も多くいる。だからこそこれだけ安堵な生活を送れるのだろう
たとえ、この先どんな苦労があろうと乗り越えることができると
そう心の中で整理していた。みんながお互いの顔を知っている町
だからこそ、私は生きていけるのだろう。