お風呂から上がった私は自分の部屋に戻った
今は平和な毎日だ。少し前の騒動が嘘のように
平和な日常に戻ってきた。それだけで私は少し心のどこかで安堵していた
私は今を大切にしている。この瞬間でも世界は動いている
たとえどんな些細なことでも世界を動かしているのはネルフだ
私にとっては最大の禁忌。タブーとまで言っても過言ではない
彼等はきっと私のことを調べようとするだろう
この容姿を見れば誰だって想像がつく。ネルフ関係者ならばの話だが
だからこそ今を大切にする必要があるのだ
いつかはきっとこの町から去らなければならない時が来るかもしれない
そうなればすべてを失ってしまう。私はそれに対して恐怖を感じていた

「何もなければ良いけど」

部屋の冷蔵庫に缶コーヒーを取り出すとそれを一気に飲み干した
苦い味が今の私にはまったく良いものだった
だが歴史は変えることはできない。
全ては始まってしまったのだ
1度ネルフに狙われた以上、また攻撃を仕掛けてくるだろう
そうなれば、私はこの町にいることができるだろうか
この『海岸の町』。こここそが私の居場所だ
それは変わらないことを祈っている
例え、私が神様でも人を動かすことはできない
人を動かすのは心だ。私はそこまでコントロールすることはできない
私はもう失う事に恐怖を感じていた。これ以上ないほどに
ようやく手に入れた幸せと平和。何人にも侵されない場所
ここが戦場になってしまったら私の居場所はもうない
だからここその平和を愛しているのだ
今のところ平和で静かな日常だが。明日にはどうなっているか分からない

「平和だわ」

昔では考えられなかった。今ほど、サードチルドレンだった時と比べて平和であることには変わりない
私は自分の部屋だけに設置されているベットに腰掛けるとテレビを見始めた
そこではネルフが叩かれていた。もちろんネルフ監察局
そんな番組を見ながら私は冷蔵庫からまたコーヒー缶を出すと飲み始めた

『トントン』

「開いてますよ」

入ってきた人物を見て私は凍り付いた。
ネルフのマークが入った制服を身にまとった人物だった

「何か用件ですか?」

私は極力冷静に努めるように対応した
しかし、どうやら彼らは聞く耳を持たず私をこの旅館から、いや外の世界に出そうとしているようだ
それも無理やりに

「あなたを拘束するわ。渚カヲル殺害未遂の容疑でね」

そこには懐かしい、葛城ミサトの姿があった

「突然押しかけてきて、私の娘になんてことを言うんですか!」

お母さんが現れて私を守ろうとするが、ミサトさんは令状を持っていた
逮捕状だ。どうやって入手したのかわからないがそれは間違いなく逮捕令状だった

「あなたを第三新東京市まで連行するわ。こうして逮捕令状まで取ったのだから問題ないと思いますが」

「娘がいつ犯罪を起こしたというのですか!」

「事件直前と直後に市内と市外を出入りした人間を全員チェックして不審と思われる人物はあなただけよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかりました。ですが何も話すつもりはありませんから」

こうして私は再び泥沼につかる羽目になってしまった
まさに最悪の事態だ。私にとって、ネルフは嫌な組織だ
真実を隠して権力を拡大した。ただし監察局と言う番犬がついているが
私は手錠をかけられると旅館から出ていき少し離れたところにある広場に向かったところそこにはヘリが駐機されていた
それに乗り込むと、第三新東京市に向かっていった


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第三新東京市 ジオフロント ネルフ監察局 局長執務室

そこでは蒼崎マモルが水川カオリの逮捕令状執行について対応に追われていた
最も焦っていたのは国連の方だった。またしても悪夢のような天才が発生するのではないかと
すでに安全保障理事会が緊急で招集されて会議の真っ最中だった
彼女がネルフ本部内部に入ってしまえばもはや救出する術は限られている

「大至急国連に連絡して逮捕状の棄却を」

『わかりました。早急に対応します』


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私はヘリでの移動の中あることを考えていた
もう終わりになってしまうのではないかと。このままネルフに連れていかれて真実が明らかになったところで今サラダ
私は失うものはすべて失った。今の生活で満足している。ネルフなどに干渉されることは望んでいない
できることなら今まで通り平穏で静かに暮らしたかった
かなう事ならば、だが。こんな些細な願いさえかなう事はなかった
あの時から運命の歯車は回りだしていたのだろう
渚カヲルを撃った段階で。


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ルミナはカオリの逮捕の知らせを受けて焦っていた
今の状況でももし何かあればまたしても世界が大きく動くことになる
すでに局長から連絡をもらっていてヘリの手配をしてもらっている。ネルフ本部内に入るまでに何とか食い止めたい
入られてしまえばもはや手を出すことは容易なことではない

「間に合えば良いけど」


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