あの事件から時間がたち、私の生活も安定的なものになった。
ルミナさんはあれから戻ってくることはまだなかった。
どうやら心配はしているようで1日に1度は携帯電話に連絡が入る
私はいつも通り、彼女は静かに暮らしていると答えるとともに
海岸で撮った彼女の写真を電子メールで送っている
ルミナさんにとって安全が確保されていることを確認できる唯一の術であることは分かっていた
だからこそ私は毎日の様に朝から海岸に言って彼女の様子を写真に撮る
カオリちゃんはいつも、海岸に到着すると用事を済ませると海岸の砂浜に座り
どこか遠いところを見ているかのような目で海を見ている。
それが少し心配の種であるが、それでも彼女は生きようとしていた
少し前のどこか迷いのある人生ではなく、この道で行くんだと決めたような覚悟が感じられた
人生とは旅行のようなものだ。少しの気の迷いがとんでもないことを起こすこともある
私も車で自宅から海岸に向かうと空は晴天に恵まれていた
彼女は今日も毎日の様に海岸に来ていた
そしていつも通り砂浜近くにある商店で用事を済ませると昼過ぎまで海岸にいた
私は海岸の近くにある路肩駐車スペースに車を止めるとカメラをもって砂浜に降りた

「カオリちゃん。今日もお散歩かな」

「ユウさん。ユウさんも私の写真ですか?」

「ルミナさんが君の写真を欲しがっているからね」

彼女は私の写真なんてどうしてほしがるんですかと聞いてきたが私はあえて答えなかった
ルミナさんから理由については黙っているように頼まれていたからだ。
私はうまく誤魔化すと、1枚の写真を撮った。

「カオリちゃん。あれからもう時間が経過するけどどうかな?」

「平和ですよ。また訪れた平和に安心です」

「ルミナさんの方は少し大変みたいだね。耳に入れておいた方が良いと思うから話すけど」

私はルミナさんの現状を報告をした
彼女は第三新東京市で監察局の仕事を忙しくしていると伝えた
確かにその通りだ。今もネルフと監察局の対立は大きい
ネルフがこの町の行政に介入しようとしていることは戦略自衛隊にいる知人に聞いた
もちろん、今のこの町の行政機関の人間は監察局から出向しているが多いため簡単にはいかない
さらに日本政府、国連もこの町の行政には目を光らせている。
ルミナさんから私はそう聞いていた。その事はカオリちゃんの耳に入れるわけにはいかなかったが
いま最も懸念材料は再びネルフのメンバーが来ることだ。
幹部の行動は制限できても、碇レイや惣流アスカラングレーのような下々の人間まで把握はできていないとのことだった
それでも守らなければならない事がある事は事実だ