私はいつも通り部屋のロッキングチェアに座り、外を眺めていた。
今のところ平穏な時間を過ごしていた。縁側でのんびりとした時間だ。
ようやく得られた平穏に私は幸せを感じていた。
あの地獄のような時間とは違ってゆったりと流れるこの海岸の町の時間。
「平和ね」
『トントン』
「は~い」
ドアがノックされたので私はロッキングチェアから立ち上がるとドアに向かった
するとそこにはルミナさんが立っていた。1冊のファイルを持って
「あなたにこれを渡しておこうと思ったの。もう真実を知るには良い機会だと思ってね」
そのファイルを私に渡すとルミナさんはその場から去っていった。
受け取った私はとりあえず部屋にそのファイルを持って入るとテーブルの上に置いた
そして再びロッキングチェアに座った。するとベランダに1頭の子猫が現れた。
私は窓ガラスを開けて部屋に招くと子猫は私の膝の上に乗ってきた
子猫はそのうえで日向ぼっこをするかのように丸くなってしまった。私はゆっくりと慎重に子猫の毛並みを撫でる
「本当に平和」
私は心からそう思った。何事もない平和な日常。いつもと変わりない静かな時間だ。
それがいつまで続くかはわからないができる事なら永久に続いてほしい。この静かな時間がだ
私は安楽椅子から立ち上がろうとしたが子猫が丸くなっているのを思い出し、立ち上がるのをやめて外に浮かんでいる太陽を見た
『ピーピーピー』
ポケットに入れていた携帯電話が着信を告げていた。
その音を聞いて子猫は飛び起きたようで私の膝の上から出ていったしまった
私はため息をつきながらも電話に出ると相手は知らない相手の番号だった
「もしもし」
『水川カオリさんですね。私は惣流アスカラングレーといいます。個人的にお話をしても良いでしょうか?』
意外な人物からの電話だった。思わず私は電話を切ろうと思ったが少しは良いだろうと心の片隅で思ってしまった
どうしてなのかはわからないが何故だか彼女なら良いかもしれないと思ってしまった
「お話というのは何ですか?」
『碇シンジという名前についてよく知っていますよね。彼の遺言が本当なのか教えてください』
「あの時も言ったはずです。私はただの遺言執行人に過ぎないと。それ以上でもそれ以下でもありません」
『ですがあなたは彼のことを良く知っている。どこで知ったんですか?』
「くだらない話ですね。彼とどう会ったなんてどうでも良い事だと思いますが。重要なのは彼の遺志です。私はそれを尊重するだけです」
本当に嘘だが私はあの時に真実を言ったつもりだ。もう彼女たちとかかわりを持つつもりはない。2度と。
ようやく勝ち得た平穏なのだから、これを守り続けていきたいともうのは当たり前のことだ。
にもかかわらずそれを邪魔しようとする。私にとってはそれはただの邪魔者でしかなかった