僕が連絡が受けたのはカオリちゃんのご両親からだった。旅館が襲われたと。狙いはおそらく娘だとも
自分はすぐに武装をすると車に乗り旅館に急行した。守るべき大切な人だからだ
例え過去がどうであれ、大切な人には違いない。
旅館に到着したころにはすでに警察による規制線が張られていた。
しかし僕はルミナさんと会うと特別に許可をもらって現場に入る事が許された
「何があったのかな?」
僕は冷静な態度を示していたが内心では怒りがピークに達しそうだった
「誘拐よ。それもネルフのね。まさかこんな直接的な行動するなんて想定外。今戦略自衛隊に協力を要請して周辺を封鎖させているわ。国連軍にもね」
「ネルフサイドの反応は?」
聞くまでもないでしょとルミナさんは言った。想像がついていた。認めるはずが無いことだからだ。
認めれば組織として大きなダメージを受けることになる。それだけは避けなければならない事だからだ
問題はどうやってこの町からカオリちゃんを連れだしたかだ。陸上ルートは監視されている。
となると海だ。カオリちゃんの部屋は海に面している。
もっとも崖になっているためそこを降りなければならないが
ルミナさんと一緒にカオリちゃんの部屋に向かうと室内には血痕が飛び散った跡があった
誰のものなのかはあまり想像したくない。もし彼女の傷でもつけられているものなら何をしでかすか
自分でも制御できるかどうか少し自信がない
「血痕の血液型は?」
「ABよ。カオリちゃんはA型。薬莢が1つ。反撃はしてくれたみたい。この血痕から特定できればこの犯行がネルフのものだと立証できるわ」
「そうなれば追い詰めることができるというわけか?」
「ええ、その通りよ」
ルミナさんはまるで捕まえるのを楽しみにしているかのような態度を取っていたが僕は不安でしょうがなかった。
カオリちゃんのことばかり心配していたからだ。もし彼女に何かあれば。僕はそこまで依存していたのかというのを改めて感じてしまった
「彼女に監視装置は?」
「悪いとは思っているけど髪飾りにセンサーをつけているわ。GPSで追跡。おそらく第三新東京市に行くことになるでしょう」
ルミナさんは戦争の始まりよと言うと一緒に行くと聞いてきた。
僕はもちろん共に行動すると答えると一緒に追いかける事にした
カオリちゃんは僕にとっては大切な人だ。今、失う事は自分を許すことではなかった
失われたものは2度と戻る事はない。それに彼女の心の傷が少しでも浅いうちに救いたい
そういう気持ちがあった。それほどまでに愛していたのだ
たとえ、僕たちの関係がいかにいびつなものであったとしてもだ
僕は元はゼーレの側の人間だ。ネルフにいた彼女とは相反する立場だが今はどうでもいい
今はこの町の住人であり、彼女の守護者の役割を担っていると思っている