ティアさんは私を出迎えるとすぐに監察局の施設に連れていってくれた
休憩室でコーヒーが入ったカップを手渡された。

「苦労をかけたわね。ネルフにはこちらから圧力をかけておくわ」

「どうして守ってくれるんですか?」

「ルミナの言葉と同じになるけど、あなたにはそれだけの価値があるの。人を物差しみたいので測るのは私も好きじゃないけど」

私は手渡されたコーヒーカップに口をつけて暖かいコーヒーを飲んだ
少し緊張が和らいだ。ここまで緊張の連続だったからだ。
もし、あいつがマギをごまかしてくれていなかったら脱出は無理だっただろう
どうやったかは知らないけど私を利用するつもりかもしれない。警戒は怠らない方が良いと思った
ようやく勝ち得た平穏もあっけなく崩されてしまった。その事に私はわずかながらにショックを感じていた

「平和だったのに」

「守り切ってみせるって言ったのにごめんなさい」

「ティアさんが謝る事では」

「いえ、発言した以上責任はとらないとね。ルミナに怒られることは覚悟しているわ」

彼女、あなたのこととなると周りが見えていないからと少し苦笑いをしながら私に語り掛けてきた
いつも冷静沈着な彼女しか見ていない私にとってその様子を見てみたいと思ったのはその時だけだろう。
ルミナさんはいつも冷静だ。どんなに危険な時でも冷静沈着にふるまい。
危険な空気すら和やかなものに変える力を持っているように感じる
そんな彼女が私のこととなると顔色を変えるとはあまり想像はできなかった

『ピーピーピー』

ティアさんの携帯電話が着信を告げていた。相手はルミナさんだと彼女は言って電話に出た

「無事に保護したわ。どうやら渚カオルが協力したみたいね。何か企みがあるのかもしれないけど・・・・・・・・・・・・・ええ、安心て。監察局にいるから」

そう言うと通話が終わった。ティアさんは心配性ねと言うと、安全な場所に移動しましょう。
そう言って私の手を持ってオフィスに案内した
そこには拳銃を携帯した監察官が数多くいた。ここなら万が一襲ってきても対応できる。
しかし施設入り口にも警備がいるので簡単には出入りはできないが
スパイがいないとは断言できない。ここなら徹底的に身元調査がされている。

「ティア、彼女の保護。ご苦労様。しばらく面倒を見てあげて」

ティアさんの上司と思われる女性から指示を受けると彼女は了解ですと敬礼をして答えた。
私はとっさにご迷惑をおかけしてすみませんと謝罪すると彼女はこれも仕事よと言ってその場を去っていった

「上司はいつもの事だから気にしないで。私のデスクの椅子に座って待っていて。ルミナと相葉ユウも来るわ」

「ユウさんもですか?」

「ええ、心配性な人間が多いみたいね。あなたはかなり愛されているみたいってことね」

羨ましいわとティアさんは言うと少し席を外すわと言って少し離れた席にいる同僚と話をしに行った
私はその間、イスに座りながら待っていた。