「それで状況は?」

『無事に保護したわ。どうやら渚カオルが協力したみたいね。何か裏があるんでしょう』

「あいつが協力するなんて、恩を売って何かを要求するつもりよ」

ティアと通信しながら私はそう断言した。私は相葉ユウさんと一緒に第三新東京市に向かっていた
無事に保護されたという話題は私達に少しの安堵感を与えてくれたが
それを協力した人物が少し問題だった

「それにしてもどうして渚カオルが協力したのかしら」

「あいつはもともとゼーレ側の人間だったからね。何か裏があると考える方が良いかもしれないね」

ユウさんの言うとおりだ。きっと何か裏事情があるに決まっている。
そうでなければ協力などするはずが無い。無茶な要求をしてくることは予想できた
だが今はそんなことよりも少しでも早くカオリちゃんの安全と無事を確認したかった。
そのため、車を利用するのではなく国連軍に要請してヘリを出してもらった
これなら、数時間で到着できる。空域も空けてもらっている。あとは現地に行ってからの対応だ
カオリちゃんの携帯電話の通話は悪いとは思っているけど盗聴させてもらっていた。
まさか碇ユイがこんなに早く行動を起こすとは想定外でしかない。
関わるなと直接言われたのに関わろうとしたのには何か理由があるはずだ

「それにしても、どうしてネルフはまたカオリちゃんに手を出してきたんだろうね」

「彼女をチルドレンとして登録して第三新東京市に置いておきたいんでしょ。おそらくね」

その予想は最も当たってほしくないものだが、正解率は高いと見ていた。
今のネルフにとってエヴァを動かせるチルドレンは重要な存在だ。戦略的に見ても。利用価値も

「ネルフと監察局は戦争の始まりかな」

「でもきっと局長が動いてくれる。それにカオリちゃんを保護するために多額の予算を国連は毎年承認しているしね」

あなたも知っているわよねと尋ねるともちろんだと彼は答えた。腐っても、元ゼーレ側の人間だ
情報網は今も健在だろう。それくらいのことは把握していることは分かっていたし、私の方からも種は蒔いておいた
芽吹く前に採取して自分で育て上げることぐらいのことは朝飯前だろう

「それで、今後の方針は?」

「とりあえず、局に戻って相談よ。あなたはカオリちゃんについていてあげて。あなたがいれば私も安心だわ」

信頼できる人間に預けるのが一番だ。ティアも信頼はしているが戦力としては少し弱い。
彼なら鍛えてきたし銃の扱いもかなり鍛錬した兵士を超えている。安心できる。
だが問題は山ほどある。本当の闘いはこれからだ