僕がユイさんに疑われることは想定の範囲だったが想定以上に疑われていた
今後は見張りがつくことになることは容易に想像がついた。ただでさえ警護がついているのだがさらに厳しくなるだろう
もっともそんなことはどうでも良い。今回は恩を売ることができた。
今後、監察局に何かお願いするときに利用できるかもしれない。もちろん、彼女が望んでいるならすぐには手を出さないが

「でも今後は僕の行動にも制限がつくだろうね」

「まったく、分かっているなら無茶な事をしない事を進めるよ」

「加持さん。聞いていたんですか?」

「君が手を貸したことは分かっているけど、その真意を聞いておきたくてね。それによっては協力しても良い」

「彼女のことを守るためです。今の世界には彼女は必要です。そして安定的な精神を持ってもらう事が」

すると加持さんはこういった。君はネルフとは一歩立場が違うみたいだねと
確かにその通りだ。僕の立場はすこし微妙だ。ネルフに所属しているが監察局にも協力している
一歩間違えればとんでもないことになる事は分かっている。それでも彼女との接点を持ち続けたい
そう願い続ける事は罪なのかもしれない。でもそうありたいと思っている

「君の立ち位置はかなり微妙だよ」

「覚悟はしています。最悪ネルフから追放されることも考慮していますので」

「君たちは何を企んでいるのかな」

「僕の願いはただ1つです。シンジ君の希望が叶う事。それがあの時に願われたことですから」

あの時、サードインパクトの時の望みは幸せになること。今の彼、いや彼女には平穏が一番の安らぎだ
そのためには少しは犠牲になっても構わなかった。それだけの対価を僕は彼から受け取っている。
今度は逆に僕はそれを返済をする番だ。僕は救われたが、彼女はまだその途中だ。手助けするときが来たのだ
そのためならどんなことでもやってのけるつもりだ。だから自分から犠牲になる道を選んだのだ。
それがどんなにいばらの道でも。そして、仲間から見捨てられるかもしれないという覚悟を持って取り組むと決断したのだ

「君が何を考えているかはわからないが。あまり無茶はしない事だ。もっとも、僕もカオリちゃんに救われた側だから」

ある程度は協力させてもらうよと小声でつぶやくと加持さんはその場から去っていった。
どうやらネルフにいる彼女の応援は僕だけではないようだ。信頼できる情報ではないので、どこまで信じて良いのか
その時ある人物から渡された携帯電話に連絡が入ってきた

「渚カオルです」

『君が協力してくれたおかげで彼女は無事に保護できた。協力には感謝するが君の狙いは何かな?』

「僕の願いは彼女の望みをかなえる事です。僕も救われたのに彼女を傷つけてばかりですから」

『その言葉、どこまで信じて良いのかわからないけど。今は信頼しておくよ』