ネルフ監察局 局長執務室

「局長、カオリちゃんには相葉ユウさんをつけておきました」

「彼のこと、信頼しているのかな?」

「彼女のことではですが。それ以外では信頼はしていません」

私の言葉に局長は相変わらずだねと言った。確かに私の基本的なところは変わらない。
だが守るべきものがある以上、変えられない物もある

「私は彼女を守るために存在するのです。そのためなら悪魔にも魂を売ります」

確かに私はするだろう。もし彼女に影響がある事が発生したなら世界すら捨ててまで守り抜くつもりでいるのだから
そのために私は今、ここに存在している。そうでなければ意味がない

「ネルフはかなり強硬な意見を言ってきているけどすでに国連から圧力をかけさせておいたよ」

「さすが局長。素早い対応に感謝します。それで国連は?」

「彼らも恐れているようだよ。君が語った通りになれば再び国が亡びるという現実をね」

すでに経験済みなだけに特にと。そうヨーロッパ地方などは特にそうだ。
痛い目にかなり遭ってきている。だからこそ毎年のように彼女の警備にかなりの予算を出している
国がつぶれる事を考えれば金で解決したいと思うのが誰もの本音だろう
そうでなければ今のあの町が存在するわけがない。大きなお目こぼしにあんな町が
今頃ネルフの支配下に置かれているはずだ。それができていないのは彼女の影響力だ
私はそれをよく理解していたし局長も分かっていた。

「とにかく今は、対応を考えないとね。今後の作戦についても。まずはこの街から逃がす方法だけど」

そう、ネルフ監視下にあるこの街から彼女を脱出させることが今の最も優先課題だ
保安諜報部は強大な力を持っている。この街では特にだ。さらに彼女に影響を及ぼす人間が多すぎる
わずかにでも接触させれ、どうなるかは想像したくない。爆弾が爆発するようなことは絶対にダメだ

「局長はどう判断するつもりですか?」

「君がかつて語ったことにならない事を祈るばかりだよ。もし現実になれば、もう世界は耐える事はできないだろうからね」

私はそれだけヨーロッパ地方は打撃を受けているのですかと聞くとそうだよと返事が帰ってきた。
予想以上に被害はひどいようだ。それなりのことをしてきたのだから、当然といえば当然だが

「とにかく君たちをあの町に帰すよ。偽装ヘリを使うと良いよ」

「そんな派手な事をして後始末が大変では?」

局長は任せてと言うとヘリの使用許可書を渡してきた。私はそれを受け取るとカオリちゃんの元へと向かった