休憩室で私は相葉ユウさんと話をしていた。彼は私の場所に来るとすぐに抱きしめてくれた。
それが私にとっては何よりもうれしいことだった。私は彼女にもう大丈夫ですよねと言った

「もう大丈夫だよ。今度こそ僕が守るから。必ずね。これからしばらくは僕も旅館に住むことにするよ」

「良いんですか?そんなことをしても」

「自宅を少し空けておいても問題ないよ。セキュリティシステムを設置しているからね。だれかが侵入したらすぐにわかる」

もう君の家族には話をしているよと伝えてきてくれた。私は心の底から嬉しかった
確かに今の家族と一緒に暮らせていることも何よりもうれしい事だが、ユウさんと一緒に暮らせるという事もうれしかった
愛していたのかもしれない。それが私に相応しいものではないという事が分かっていたとしても
ようやく勝ち得た平穏に私は必死になって縋り付いていた。まるで藁にもつかむ思いで
そこにルミナさんがやってきた

「カオリちゃん。遅くなってごめんなさいね。あなたをあの町に帰す予定ができたわ。帰りましょう。それともう2度とこの街に来ることが無いようにするわ」

「大丈夫なのかな?」

ユウさんの言葉にルミナさんはあなたという最強のボディーガードがある事だしねと言ってきた
どうやら、ユウさんは私のボディーガードを務めてくれるようだ。それはそれで心強い事だ
問題なのはお母さんやお父さん、さらに旅館の仲居さんたちにより一層の心配をかける事だ
できる事ならこれ以上家族に迷惑をかけたくない事だが、今の状況では仕方がない
今後の状況次第で、家族にすら危険性が及ぶことは覚悟いなければならない
ネルフは無茶をすることが今回の事で分かったからだ。もし、さらに迷惑をかければ私はあの家を出ていくことさえ考えていた
大事な家族で離ればなれにはなりたくないが迷惑はかけたくない
ただでさえ迷惑をかけているのだから。

「カオリちゃん、あの家から出ていくなんてことは考えないでね」

「どうしてですか?」

「私にとってあそこが最も守りやすい場所なの。もしあの町から離れればネルフの行動を止める事をできなくなるわ」

「私はかごの中の鳥ですか?」

「まぁそういうそういうことね。悪いとは思うけどエサになってもらうという面もあるのよ」

「魚のエサですか!?」

「悪く言えばそういう事ね。ごめんなさいね。こんな形でしか守れない私を恨んでくれて構わないから」

「いえ、わたしはあの町で静かに暮らせるならそれで満足です。欲張りすぎると良い事はありませんから」

確かにそうだ。人は欲張りだ。だからこそ悲劇を招くことになる。わたしも欲張りかもしれない
静かな生活を望みたいという。誰もが願う事が私にとってはぜいたくな事なのだろう