第三新東京市 ジオフロントネルフ本部 保安諜報部 部長執務室

「なるほどね、彼の言う通りみたいだ」

加持はある記録を調べていた。それはカオリに関する記録だ。彼もある人物からある程度エサを目の前に蒔かれていた
それを基に情報収集を行っていた。彼も彼女に救われた側のため、多少の協力は行おうという態度だった
そこにある人物が入ってきた。加持に呼ばれてやってきたのはカオルだ

「カオル君、どうやら君の言うとおりのようだね」

ネルフ内でも彼の取り扱いについて極めて微妙な問題とされていた。立ち位置もかなり微妙だ
エヴァのパイロットであるチルドレンでもあるが、彼は様々な真実を知る人間だ。
そのため、通常よりもアクセスできる情報はハイレベルに設定されていた

「分かっていただけましたようでありがたいです」

「監察局の動きについても俺としても把握しておきたい」

「だったら、あちらの蒼崎局長に連絡をすると良いです。ただし1つだけ警告します。僕はネルフにつくことはありません」

カオル君の言葉に彼の立ち位置がよくわかった。どうやら本気でネルフと敵対する気があるようだ
それはそれで恐ろしい事が待っている。
ネルフにとって重要な存在であるチルドレンがネルフ側ではなく監察側につくという事だ。

「本気みたいだな」

「ええ、僕も彼女に救われた立場ですから」

「それを言うなら俺もだね。もし救われていなかったら今頃天国で楽しくしているはずだったからね」

加持はあの時に死んだはずだった。にもかかわらず生き残っている。いや生き返ったのだ
それが誰なのかは生き返った時にある言葉を聞いていた。今度こそ幸せになってくださいと
そう聞いていた。それが誰なのかは分かっていたが確証は得られなかった
ところが今回の事でそれをよく理解した。だからこそ協力する事を決断したのだ



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ネルフ本部総司令官執務室

「碇、本当に彼女に手を出さなくてもよかったのか?」

「国連がうるさいからな。どうやら何かを知っているようだが。我々に情報が回ってこない事から見ると彼女に関する情報をストップする人間がネルフにもいるようだ」

人間の敵は人間というわけだと冬月が言ってきた。確かにその通りだ。
彼女の情報が今まではいってことなかったことを考えれば理解できる
今まで何万人もの人間を調べてチルドレンに該当する子供たちを確保してきたのだから

「ネルフ内にそれだけのことができる人間はかなり限られる。恐らく保安諜報部の加持君だろう。彼ならいろいろと情報を制御できる立場だからな」

「ああ、その事は分かっている。どうやら特別な情報を持っているようだが我々に上げてこないという事は何か事情があるのだろう」

彼が情報を握りつぶしていることは今回の一件で確実になった。
敵が身内に2人もいることになるが何か事情があるのだろう。それも簡単には話せないような事情が
おそらく、水野カオリに関する情報を握っているのだろう。その事は私にもわかっていた
彼以外にも情報網を持っている。ネルフがあの町に触れる事が許されないという事は国連ですら彼女のことを恐怖に感じている
彼女にはそれだけの価値があるという事になる。

「何を考えている?国連は」