ネルフ監察局 局長執務室

私にも彼女、ルミナの存在は大きなものに変わっている。初めは私の補佐のような役割だと思っていたが
実際は監察局の中枢に位置する立場におさまっている。彼女が握っているあまりにも巨大で、全世界にわたる秘密
正確にはヨーロッパ地方の各国を恐怖に陥れた。実際に被害を受けたところはあまりにも深刻なものだと理解した
そのため、毎年のように『彼女』に対する予算はあまりにも膨大だが承認され続けている
周辺には戦略自衛隊と国連軍の警備。さらにネルフに対する警戒も怠らないように厳重に保たれている

「彼女の存在がここまで大きくなるなんて誰も思っていなかっただろうね」

すると室内のソファに座っていた彼がこう言った
どれだけ残酷な事実でもそれが事実なら受けれるしかないのではありませんかと
確かにその通りだ。私も同意見である。どんなに残酷な結果でもそれを受けれなければ
それはまた同じことを繰り返すことになる。各国はそれだけは避けたいという思いで必死なのだ
これはヨーロッパ地方に限ったことではない。他の地域でも彼らのような悲劇には遭いたくないと思っている

「それにしてもどうして僕はそこまで信頼を?」

ソファに座っていたのは渚カオル。彼だった。わざわざここまで来てもらったのはいろいろと事情を聞くためだ
さらにネルフの情報も入手しておきたいと思ったからだ。彼から得られる情報は非常に大きい。
なにせネルフの中枢にいる立場なのだから。彼の元の『立ち位置』についてはよく知っている。
ルミナから聞いていたからだ。その事が彼女にとって警戒させる理由になっている。私は何とか誤魔化しているが
彼女にとっては信頼できない最大の理由でもある。彼女の警護対象の心を壊した最大の要因なのだから

「信頼はしていないが、君からもたらされる情報は極めて有益だからね」

それを聞くためにここに入るIDカードを支給している。
そうでなければ敵対しているはずのネルフ側の彼にIDカードは発給されない
発給されるはずがないのだ。敵対視しているのだから。特に彼女は彼のことを認めていない。

「ネルフは真実に近づいています。ただしサードインパクトの真実にはまだ気づいていない者も多いでしょう」

「君は良く知っているようだね」

「もちろんです。当事者でしたから」

「だから警戒されるんだよ。彼女にね」

「もともと好かれるとは思ってはいませんでしたから。僕と彼女の関係は。当時はまだ個性を持っていませんでしたから。サードインパクトによって生まれたものです」

「彼女もそう言っていたよ。自分は守るために存在するのだと」

そう言うと思っていましたと彼は言うと、今日はこのあたりで失礼しますと言って私の執務室を出ていった
それと入れ違いにネルフ監察の実行部隊の責任者であるシエラ・ドーレスが入ってきた

「局長。ネルフに動きがありました。正式にネルフから国連に介入を要請したいとの事ですが安保理常任理事国が拒否権発動」

「彼らもネルフの行動が活発になった事に警戒感を持っているようだね。それは良い事だよ」

「それにしても彼にあそこまで譲歩する必要が?」

確かにあそこまで譲歩する必要があるとは思えない人間は多いだろうが。それは情報を知らないからだ。
シエラも限られた情報しか知らない。ティアよりも情報が少ないのだ。
ティアはかなり核心部分まで知っているため極度のネルフ嫌いになっている
以前とは大違いだ