砂浜でカオリちゃんと一緒に過ごす時間。
それは何物にも代えることができない貴重な時間に感じた
確かに彼女が求めていたのは最も静かに暮らせる時間だ。彼女にとってはそれが簡単なものではなく
苦労の末に勝ち得た物だった。だが、ネルフがもう諦めたとは思えなかった
彼らはしつこい。まるで腐りかけの肉にかぶりつくハイエナの様に。
だからこそ警戒するべき組織なのだ。彼女にとっては
それは自分も例外ではない。ネルフがどんな危険な実験をしてきたのかはよく理解していた
そして、その真相を知っている者はネルフにとっては敵対視するだろう。
そのため、僕はネルフから危険視される可能性は十分あった。その場合僕はこの場から去ることを決めていた
狙われたら、カオリちゃんまで傷つくことになる。そんなことは僕には耐える事はできない。
僕のせいで彼女が傷つくところは見たくなかったからだ。すべては彼女のためだ

「カオリちゃん。君のことを愛している。だから「ユウさん。それ以上は言わないでください」んっ!」

僕が続きを言いかけると彼女は僕にキスをしてきた

「私は愛しています。あなたのことを。だから、もう別れるなんて言わないでください」

彼女は僕を強く抱きしめてきた。僕も抱きしめ返した。彼女の気持ちがよくわかったからだ
彼女は僕のような汚い男を愛してくれていた。ルミナさんは僕のことを信じてくれていないようだが
カオリちゃんは僕のことを信じて。いやそれ以上に愛してくれていたようだ

「カオリちゃん。僕がどんな人間だったかは分かっているよね?」

「はい。ユウさんがゼーレの人間だったとしても今は違いますよね?だったら信じます」

だから私を愛してくださいと


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第三新東京市 第1区高等学校 屋上

僕が学校に登校するとすぐにすぐにアスカやレイに呼び出された。それも屋上に

「それでカオル。あんた、どっちの味方なの?」

「これはこれはアスカさん。いきなりだね。それにレイさんも」

「あなたが碇君の事で動いていることは聞いているわ。どうしてそんなことが許されているの?」

「僕は被害者だよ。撃たれたり、殴られたりされている。なのにどうして僕が加害者側にまわるのかな?」

どうやらレイやアスカには僕のおとぼけ具合は伝わっているようだ。厄介な事をしてくれたものだ。
どうせユイさんの差し金だろう。彼女は子供たちを使って情報収集をしようとしている
やりかたが汚いが、なりふり構っていられないのだろう

「僕はいつだって正直者だよ。それに彼女がシンジ君でないことは間違いないよ」

「そんな茶番にあたしたちが付き合うと思っているの」「そうよ」

「どう思うと勝手だけど、彼女はシンジ君ではない。それだけは事実だよ」

僕はそう言うと屋上を出ていった。残された2人がどうしたかは知らないが。
恐らくよからぬことを考えていることは容易に想像ができた
だから僕は携帯電話を取り出してあるところにかけた

「アスカやレイが危険な行動に走るかもしないよ」

そう伝えると相手は何も言わずに電話を切った