海岸の町の砂浜で私はのんびりと海を眺めていた
静かな時間だ。何者にも邪魔をされない。そして自然が豊かであることを示すかのように
多くの鳥たちが砂浜の上空を飛んでいる。これこそ自然が豊かな証だと言わんばかりに
まさにここは動物たちにとっては楽園だ。この町の住民は自然と共に暮らしている
自然を邪魔するわけではなく共存する道を選んだのだ
それこそが本来の人間と自然との関係のはずなのだが、実際には自然は人類が生存するために存在すると思われている
それが私にとっては残念な事だ。自然と人類は共存するためにあるはずなのだが~

「どうして人は、自然を壊すんでしょう」

「ずいぶんと哲学的な話だね。その答えはきっと誰もが論争しても結論は出ないだろうね」

「そうですか」

ユウさんの言う通りかもしれない。確かに哲学的な話だ。そしてこの話の結論は簡単には
いや、永久に出る事はないだろう。それが自然と人類の今の関係なのだ

「お酒の注文も終わったけどどうするのかな?」

「お昼前には帰ります。それまではここでのんびりと過ごすつもりです」

そう、私は自然と一緒に過ごすのが一番好きなのだ。人と接するのと違って、自然の動物たちには悪意を持っていない
きちんと友好的に接すれば彼らは決して嫌ったりしない。それが私が神様だからなのかもしれないが
それでも動物たちと仲良くできる事はとても嬉しい事だ。私は心から信じているのはこの町の住民だけだ
そして旅館で私を愛してくれる両親とみんなだ。私が失った時間は大きいがそれを今は大事にしている
ようやく勝ち得た幸せだからだ。だからもう手放す事はしたくなかった。この暖かい家族とみんなの心を
砂浜に座って海岸を眺めているとルミナさんが声をかけてきた。

「カオリちゃん、問題発生よ」

「何かあったんですか?」

「惣流・アスカ・ラングレーと碇レイがこっちに来るつもりのみたいね」

「またか。懲りていないようだね」

「ええ、あなたの言う通りよ。相葉ユウさん」

ユウさんも気づいたようで私の隣で座っていたのだが立ち上がって少し離れたところで話を始めた
私には聞かさない方が良いと考えたようだ。別にもう私は彼らに興味はない。
あの時にすべては終わったのだから。それにもうこの町から旅行以外で出ていくつもりはなかった
あの街とはもう関係ないのだから。

「カオリちゃん。これを渡しておくわ」

そう言って私にルミナさんはボタンがついたキーホルダーを渡してきた。ルミナさんによると緊急ボタンだという事だ
何か緊急事態が発生した時はそれを押せばすぐに駆けつけることができるというものらしい

「もしも困ったことがあればすぐに押してね。私がすぐに駆けつけるから。もっとも、あなたには彼という優秀な護衛がいてくれるみたいだけど」

「僕も精一杯守らせてもらうよ。大切な人だからね」