私は彼女に緊急ボタンを渡すと自宅に帰った
走行中に電話がかかってきたのでハンズフリーモードで電話に出た
相手は局長だった。

「局長、カオリちゃんには緊急ボタンを渡しておきました」

『渚カオル君から連絡が入ってきたよ。どうやら2人は本気でネルフを振り切ってそっちに向かうつもりのようだよ』

「信用できる情報ですか?」

『間違いないよ。こっちでも調べたら、セカンドチルドレンが購入したバイクが保管されていることを確認したよ』

「面倒な事になりそうですね。そちらで止める事はできますか?」

『残念だけど難しいよ。ネルフが組織として動くならなんとかできるけど個人で動かれると難しいね』

つまり私にすべてがかかっているという事だ。これは責任重大な責任という事になる
ようやく安定した彼女の心を大きく揺さぶることになるから。これ以上傷ついてほしくなかった
幸せに生きている彼女の心を傷つけるようなことをする人間を私は許しはしない。
それに今の彼女には心強いボディーガードが存在する。
私は信用していないが、彼女は彼のことを良く信頼している。裏切るようなことはないだろう。
彼なら死ぬ気で守り切ってみせてくれる。なぜだか知らないがそう思えてならなかった
あとは彼に適切な情報を流して警戒をしてもらうだけ

「詳しい動きがあればすぐに連絡をください。こちらでも対応に入ります」

『わかったよ。それと増援を送っておいたよ。ティアをね。彼女なら信頼できると思ったからね』

ティアは真相を知っている数少ない人間だ。ティアなら多少の無茶は対応がきくし、私と違って軍上がりの人間だ
私よりも銃の腕と格闘術は身に着けている。心強い応援が増えたというものだ

「感謝します。ティアならいろいろと知っていますし。裏の事も」

『だから彼女を選んでおいたんだよ。ティアは優秀だし真実も知っている。君の応援にはうってつけの人物だから』

「お心遣い感謝します。では今後は彼女と連携して警護に入ります。到着予定は?」

『もう君に家で待っているはずだよ。ヘリで向かったからね』

「素早いですね」

『それが私の仕事だよ。迅速な判断に迅速な対応が』

そこで通話が終わった。ちょうど家に到着すると玄関前ではティアが立って待っていた

「ルミナ、またここに来ることになるなんてね」

「ティア、今回はあなたにも仕事をしてもらうわ。それも過激なね」

そう、今回ばかりは過激な事をしてもらうしかない。無茶な事はしたくないがカオリちゃんをまもるためだ
そのためには手段は選んでいる余裕はない。もう2度と彼女たちと対面させるわけにはいかないのだ