アーレイバーク級駆逐艦ライチ CIC
補給訓練を終えて、精霊たちは交代で休憩に入っていた。
「艦長、方位185度にいる潜水艦ですが、依然として5000mの距離を保っています」
「対潜ミサイルRUM-139 VLAは発射準備のみを行え。音紋データを入力してな。ただし無弾頭魚雷でとする」
「よろしいのですか?」
仮に弾頭を入れたアスロックを発射した場合、潜水艦は間違いなく撃沈される
協力関係を築く以上、撃沈するわけにはいかない
それにこちらのRUM-139 VLAは高性能だ。発射したら外すことはない
まず100%直撃する
「ピンガーで自動追尾モードにしておけ」
「了解」
それなら外すことはない。
俺は常に最悪の状況を想定していた。
そうすることで次の一手を瞬時に行動できるからだ
「艦長。ブルーマーメイドから通信です」
俺は通信用の電話機を手にすると通信を始めた
「何かトラブルですか?」
『宗谷真霜です。ホワイトドルフィンとの艦艇と合流予定なのですが、識別信号で把握していますか』
「レーダーで既に捉えています。数は4隻。本艦を基準に方位70度。距離1万4000m」
この情報は衛星からのデータでも確認できていた
『ライチへの攻撃意思はないとのことなので留意されたし』
「こちらライチ。了解」
「トラブル続きですね。艦長」
「こればかりは仕方がない。こちらの世界の人間にとっては見たことのない艦艇なのだからな。兵器も」
「艦長!後方から高速推進音を探知!魚雷です!数は1つ」
「言っているそばからこれだ。RUM-139 VLAを無弾頭魚雷で発射だ。同時におとり魚雷を発射!」
突然のミサイル発射に真霜さんから無線が入ってきた
『何があったの!?』
「後方から魚雷です。数は1つ。自衛のための攻撃とお考え下さい」
『こちらはれかぜ。こちらのソナーでも探知。ですがまだ射程外のはずでは』
この世界の魚雷では最大射程は2000mから3000m前後だろう。
だが我々が持っている魚雷は10km先まで届く。おまけにミサイルもあるので素早く敵艦に攻撃できる
CICでは精霊たちがデータ解析を懸命に行っていた。
「方位186度。距離5500m。艦長、潜水艦は速度を落としている模様です」
「我が艦のミサイルは?」
「まもなく着弾します」
「着弾直前で自爆させろ」
「了解」
海面に着弾と同時にミサイルは見事に爆発した。
ミサイル部分を爆破したことにより魚雷も爆発した
同時に国際救難支援メッセージを確認した
今この場にいるのは我々であり真霜さんと無線でやり取りした結果、
救援に向かうことにした