その後、救助は無事に終了した。
幸いなことに死者は出なかった。軽傷を負ったものは出たものの重傷者は確認されず。
クルーズ船は、船体中央で裂けてしまい沈没してしまった
今回の訓練航海を行っていた艦艇の乗組員である学生たちによって救助された人も多い
当面の間はこの海域を動くことはできない
漂流物の回収などを行わなければならないからだ
補給艦に乗艦していた精霊たちも協力して掃海作業を行っていた

「艦長、クルーズ船は深度500mを沈降中。ソナーではその影響で探知が難しいです」

船体がきしむ音でソナーの使用が難しい状況なのだ
もしここで潜水艦などが現れたら面倒になるが、今はホワイトドルフィンの水川トオル艦長と
ブルーマーメイドの宗谷真霜さんがいる。心配することはあまりないが念のため警戒を呼び掛けていた

「艦長、まもなくクルーズ船、海底に着底します」

「ソナー、衝撃に備えろ」

着底までカウントダウンしていくと0と言った瞬間大きな音が海底からしてきた

「着底したな」

「艦長。着底を確認。ソナー回復まで60秒」

着底直後はいろいろと音がするためソナーの力は弱まってしまう

「各部異常はないか?」

「問題ありません」

ソナーを担当している精霊から新たな艦艇を確認したとの報告が入ってきた

「潜水艦です。方位60度、距離5000m。深度100mでこちらに向かって航行中」

「識別は?」

「データベースに登録なし。もともと我が艦にはあまり登録されている艦艇は少ないので仕方がありません」

「それもそうだな」

こればかりはどうしようもない.
その時だ。レーダー監視をしていた精霊から緊急報告が上がってきた

「方位310から未確認高速飛翔体を感知。火器管制レーダーはないですが直線コースでこちらに向かっています!」

「迎撃ミサイル発射用意、CIWSの起動もしておけ」

精霊たちは次々と入ってくるデータを処理していった。
高速飛翔体はミサイルの可能性が高い。迎撃のためにVLSからESSMを1基発射した

「ESSM発射!同時にCIWSと5インチ砲での迎撃用意」

2重3重の保険をかけておくのは当然の対応措置だ
それにしてもいったいどこから発射してきたのか。敵対行動や行為はしていない。
こちらにはホワイトドルフィンやブルーマーメイドの関係者もいる。そのほかに学生の教育艦もいる
攻撃する理由などないはずだ。やはりほかにもあのラットの感染者が乗船した艦艇がいたのかもしれない
精霊たちが可能性として想定していた悪夢が始まるのかもしれない

「素早い動きですな」

「これがこの艦のお金がかかった理由ですから」

ホワイトドルフィンの水川トオル艦長の言葉に嘘を交えながら答えた