幸いなことにミサイルで未確認飛翔体は迎撃できた。
発射地点はここから10km離れたところだ。
小型船舶をレーダーがとらえていた。

「おそらく海賊船だろう。この海域にもわずかだが生き残りがいるからな」

その言葉を聞いて俺はレーダーロックを指示した

「ここから攻撃するつもりか?10kmは離れているんだぞ」

水川トオル艦長にはまだ教えていなかったことだ。
宗谷真霜さんにも話をしたがハープーンミサイルなら十分射程圏内だ。相手が海賊なら問題ない

「正当防衛攻撃です。許可を」

俺は最後の判断を水川トオル艦長に求めた。
彼は許可するというと俺はすぐに発射と指示した
ハープーンミサイル4連装発射筒から1発のハープーンミサイルが発射されていった

「到達までレーダーロックを継続せよ。それとほかにも不審艦がいないか確認しろ」

精霊たちは了解と言うとそれぞれの情報端末を操作してレーダーなどで確認を再開した
はれかぜに乗艦していた宗谷真霜さんから通信が入った

『なにがあったの?!』

「海賊船と思われる船からの本船に対する攻撃があったので正当防衛攻撃です。水川トオル艦長からも許可をいただいています」

『了解したわ。できるだけ情報を回してもらえるかしら』

「了解です」

俺は通信担当の精霊たちに真霜さんが持っているタブレット端末にデータを送った

『こんな遠距離をレーダーでとらえるなんてすごいですね』

「おかげで会社は倒産しましたが装備などの物資は残りましたので」

本当とウソをうまく盛り込んで答えるとともに
レーダーでとらえられているミサイル攻撃の状況を大型レーダーモニターで確認した

「艦長、所属不明艦は針路を030に向けて航行中。速力35ノット」

「我々も向かいましょう。水川トオル艦長はいかがされますか?」

「1隻だけ同行させてもらう。一緒にいればトラブルは少ないと思うが」

「そうですね」

たしかにこっちは未登録艦なのだから
ブルーマーメイドやホワイトドルフィンの艦艇と一緒にいる方が安全だ

「艦長、機関始動させます」

ガスタービンエンジンが起動すると出力全開で現場に向かっていった

「最大船速で向かえ」

その間もハープーンミサイルは着実にターゲットに向かっている。
弾着したとの同時にレーダーから船舶反応がなくなった
おそらく撃沈したのだろうがそれを自分の目で見るまでは確証を持つわけにはいかない
船乗りの状況判断において自分の目と耳で感じたことがもっとも正確なものなのだから

「とにかく海賊船であるなら犯罪者を検挙しましょう」

「同感だ。我々の管轄海域に海賊がいれば責任問題になる」

ホワイトドルフィンにもメンツがあるのだろう。
ブルーマーメイドと同じで、一緒に海を守っているという