ライチは再度燃料補給訓練作業に入っていた。
もちろんレーダー監視を行って攻撃を受けないか
またソナーで潜水艦から魚雷攻撃を受けないか警戒していた

「艦長、まもなく本艦の燃料補給訓練は終了します」

「よし。補給訓練終了と同時に各補給艦に対して警戒を強化するように指示を」

「了解」

俺は今後の行動について検討していた
海上安全整備局にとって我々の武装はかなり魅力的に見えるだろう
さらに人工衛星の事については絶対に漏らしてはならないことだが
疑っていることはすでに俺でも把握している。
そのあたりを追及されたら回答に困るところだ
問題はどこまで話していいかだ。こちらに手のうちをすべて明かせば何かとリスクが高まるだけだ
だが何も話さないというわけにもいかない
そこが微妙なラインというわけだ

「艦長、補給艦の入港についてはどう考えているんですか?」

CIC統括管制官が質問してきた。確かに補給艦の入港の問題は課題となっている
こちらの兵器についてすべて明らかになれば大問題だ。
ある程度は情報封鎖が必要だ。特に人工衛星を使っての誘導システムは絶対に明かせない

「情報封鎖はどれくらいでできる?」

「最短で1時間です。開始しますか?」

俺はすぐに始めてくれと指示を出した

「了解。情報封鎖作業に入ります。補給艦にも連絡をしておきます。情報を漏らさないようにと」

「よろしく頼む」

どちらにしてもある程度は手のうちを見せる必要がある
お互いの連携のためにも必要な事なのだから
もし連携が取れるような状態でなくなれば攻撃を開始するしかない
事実上の『戦争』が始まるのだ。
そういった事態は避けたいのだがこの艦を守るためには手段を選べない
俺にもこの艦と乗組員である精霊たちを守る義務がある
この艦を無事に操艦して何としても生かさなければならない
艦長なのだから当然のことだ

「艦長、ミサイルロックは引き続き継続で良いのですか?」

「港からトマホークミサイルを発射する可能性がある。ハープーンミサイルもいつでも発射できるようにしておけ」

俺にはこの艦を守る義務があるのだから、少しの犠牲は仕方がない事だ

「とにかく不審人物が接近してきたら警告を行え。艦への乗艦は俺が許可するまで絶対に認めるな」

「了解」

「総員に通達。戦闘態勢を解除するが警戒態勢を維持せよ」

俺の指示に精霊たちは了解ですと返事をすると各セクションに通達していった
残るは交渉だ。どこまで信頼できるかが難しいところである。
真実と虚偽を組み合わせて交渉をするしかないのだから
とにかく本艦と補給艦を横須賀港に向かわせることにした
港に入ったとしても警戒体制は維持する。
どこから侵入者が入るかわからないためである