一方はれかぜはのんびりと海の航海をしていた
周辺海域に敵がいないのだからのんびりしていても罰は当たらない
ただし向こうが先に探知していたという事実を知らないからだ
もし知っていたら戦闘用意をしていたはずだ

「海っていいな~」

艦長の岬 明乃は前部甲板でのんびりとしていた
猫である五十六と一緒に。彼らは訓練航海で西ノ島新島に向かっていた

「艦長!」

後ろから声をかけてきたのは水雷長の西崎 芽依だ

「めいちゃん」

「このままだと集合場所に間に合わないって副長が呼んでるよ」

「でも遅れるっていう伝言はもう通信員のつぐちゃんに連絡してもらったけど。それでもだめなの?」

「それでも戻ってきてくださいって怒ってる感じ」

わかったよと艦長は言うと五十六と一緒にブリッジに戻った
戻ると副長の宗谷ましろは明らかにご機嫌斜めの表情をしていた

「艦長。どこに行っていたんですか!」

「ちょっと前部甲板に。五十六と一緒にね」

「遅刻しそうなときに何を考えているんですか」

その時だ。砲術の発砲音がした


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アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦[ ライチ ]

「未確認飛翔体を確認!方位187度。距離30km」

CICにいた精霊がはれかぜに向かっている砲弾を探知した
精霊たちは素早く戦闘配置についた。CICの中央部分にあるデジタル海図を起動させた

「艦長!」

「案内はここまでで」

もう艦内案内をしていられる状況ではない。戦闘配置についているのだから

「錨を上げ、いつでも出航できるようにスタンバイを」

「了解」

ガスタービンエンジンがうなりをあげて作動を始めた

「飛翔体の発射位置を特定完了。いつでも攻撃可能です」

精霊たちは次々と入ってくるデータ処理を柔軟に対応していた。

「そちらはどうされますか?」

俺は宗谷 真霜さん達に問うと真霜さんは残ると答えた。
こちらの行動を監視することにしたようだ

「対艦ミサイルハープーンミサイル攻撃を1発発射用意」

「了解。座標位置入力完了。攻撃を開始します」

ハープーンSSM 4連装発射筒から1発のハープーンミサイルが発射された

「ハープーンミサイルとはどんな兵器なのですか?」

宗谷 真霜さんの質問に俺は正直に答えた

「対艦ミサイルです。射程は200kmほど」

宗谷 真霜さんは射程が200kmという事に驚いていた
当然と言えば当然なのかもしれないが。
この世界ではミサイルよりも砲弾での攻撃が今も主流なのだから。

「CICからブリッジ。機関出力最大にして現海域を離脱。ミサイル着弾点に向かえ」

『了解』

「戦場に向かうと?」

「我々の攻撃の影響を確認するためです。ミサイルを放った以上確認は必要です」

ガスタービンエンジンの出力最大にすることで時速60km近いスピードでミサイル着弾点に向かった