「全艦に通達。いつでも出港できるように態勢を整えておけ」

俺はこの艦を守るためには手段を選ぶつもりはない
必要なら対地ミサイルを発射して海上安全整備局に対して攻撃する
迷っている時間などがないのだ。艦長として俺はこの艦を守る義務があるのだから

「沖合での海上待機の方が安全です」

港にいれば簡単に出港する事はできない。
沖合で停泊していればいつでも攻撃することができる
俺は精霊さん達と共にこの艦を守ることが求められている
何としても守り切らなければならない。俺はすぐに決断を下した

「全艦に通達。出港用意!」

万が一にも念のため沖合で待機している方が安全だ。
沖合で待機する最大の理由は対地ミサイル攻撃もできるからだ。

「艦長、横須賀女子海洋学校の校長である宗谷真雪校長から入電です」

「沖合で演習をするために出港すると伝えておけ」

俺はあえて無線には出なかった。ただ報告をするだけにとどめた
今は誰が味方で誰が敵なのかわからない
リスクがある状況下で不用意な発言は現場に戸惑いをもたらすだけである
それにいつ相手側から攻撃を仕掛けてくるかわからない。
一応互いに連携してという建前はあるが
それもどこまで信じていいのか俺には不安材料でしかなかった
なら沖合で停泊しておいた方が良い。燃料も武装も問題ない。
もし攻撃を仕掛けてくるならこちらからもミサイルをプレゼントしてやるくらいの覚悟はできている
ライチはすぐに港を出港して針路180度、沖合10km地点で待機することにした
さらにだ。トマホークミサイルやハープーンミサイルでの攻撃準備も整えた
CICにいる管制官を務めている精霊さん達は迅速に作業を進めていった

「こちらが出港すると同時に、ブルーマーメイドの艦船も追尾する形でついてきますが」

対応はどうしますと指示を求めてきた
できる事なら対艦ミサイルであるハープーンミサイルでの攻撃は避けたいが
何度も言うが俺にはこの艦を守る義務がある
必要ならどんなことでもやってのけるつもりだ

「ハープーンミサイルでの攻撃準備を行っておけ」

同時に横須賀港にある海上安全整備局の関係施設に対する対地ミサイル攻撃も用意するようにと
何度も言うがやるからには徹底的にしなければ守れないのだ
全ての段取りを整えておけば、臨機応変に対応することができる

「艦長。我々は正義の味方なんでしょうか?」

「それを答えてくれる相手は今のところ存在しない。例えそれが神様だとしてもだ」

確かにこの艦の運用次第で状況は変わってくる。
正義の味方になるか。それとも悪役になってしまうか
それを決めるのは歴史だ。未来の人たちが俺達が行った行為が正義だったのかを決める
今は決める事ではない。ただし、これだけは事実だ
俺はこの船と補給艦を守る義務がある。
そのためには手段を選んでいられない状況である
何度も言うが、俺は必要ならどんな艦船に対しても攻撃を仕掛ける
対艦ミサイルで。必ず仕留めるのだ。俺はできる事なら学生たちを傷つけたくない。
だがこの艦を守るためにも仕方がない時もある

「艦長。ブルーマーメイドに攻撃することになるのでしょうか?」

「今は何もわからない。今はな」