この艦は今のところ無事に横須賀港を出港して南下していた
俺は常に作戦指揮が取れるようにCICにいた
管制官をしている精霊さん達はいつでも攻撃できるように準備を整えていた

「今のところ穏やかな海だな。だが平和と戦争は紙一重とはよく言ったものだ」

平和と戦争の境界線は厳しいものだ
誰がどう判断するかによって異なるものなのだから

「艦長。ブルーマーメイドの艦船が我が艦を追跡中」

どうしますと質問してきた。正直なところは難しい判断だ。
彼らと敵対行動をしているわけではない
おそらくただの警戒監視のためであることは分かっているが
何が起きるかわからないのが戦場である。時には一瞬で情勢が変わってくる
俺は警戒監視を厳重にするとともにこちらの情報が漏れないように警戒をするように伝えた

「こちらで信頼できるのは宗谷校長だけであり、あの方は現状で最も信頼できる人物だ」

「了解」

今はミスは許されない。いつ何が起きるかわからないのだ
管制官をしている精霊さん達もそれは良く分かっている
彼女たちにとってもこの艦の装備がいかに影響力をもたらすものかを分かっている
それだけに扱いには慎重さが求められることは確かだ

「艦長。今後の対応ですが」

CIC(Combat Information Center)のトップをしている精霊さんがどのように対応するか
それを俺に判断を任せてきた。今は誰が味方で誰が敵なのかはわからない
たしかに横須賀女子海洋学校の校長をしている宗谷真雪校長だけが唯一信じることができる人物だ
今の段階ではの話だが。問題は今後の対応だ。

「おそらく人工衛星のことは彼らは何かをつかんで攻めてくるだろうな」

「それについては私も同意見です。この艦の戦闘情報システムは特別なものです」

彼女の言う通りだ。
CICのトップだから、ここのシステムの高性能であること話は分かっている
アクセスできる人間は限定されてくることが求められる。
静止軌道上に配置されていると低軌道で周回している人工衛星、
それらに関しての情報は絶対に明かす事はできない
『真実』が漏れたらどういう大騒ぎになるかはあまり想像したくない
大騒動になる前に情報隠蔽を行う必要がある

「いつ襲撃があっても良いように対応できる準備を」

今は何が起きるかわからないのだから。常に備えをしておくことが必要に。
こちらが撃沈されるわけにはいかないのだ。
この艦の様々な機材に関しては絶対に情報漏洩はあってはならない
そのためにも警戒レベルは最高レベルに引き上げる事が求められる状況に急激に動くかもしれない
俺にはこの艦を守る義務がある。誰1人として犠牲者を出すわけにはいかない
艦長として俺はこの船を守らなければならない