西ノ島新島付近 ブルーマーメイド所属さるしま

乗組員のほとんどは衝撃で気絶していた
まぁ対艦ミサイルを食らっておいて撃沈されなかっただけでも幸運と言える
本来なら撃沈されるはずなのだが。この世界では強固な外壁がされているのだ
それによってある程度、被害は軽減された
宗谷 真霜さんと共に俺は艦内の捜索に入った
さるしまの艦内についてもまるで初めから知っていたかのように迷うことなくそれぞれの場所が分かった
これも神様のおかげだろうが、今はすみやかなる情報収集が必要だ。そこで俺は1頭の猫を見つけた
ハイスクール・フリートを見ていたためその猫を頼りにネズミを、いやラットの捕獲に入った
結果は大当たりだ。ブリッジでそのラットを見つけることができて無事に捕獲できた
幸いなことにラットによる感染者はミサイル着弾と同時の衝撃波で失神。
その後は意識は無事に回復した

「あなたは?」

「古庄 薫さんですね。今はゆっくりと休んでください」

ブリッジにいた彼らを救助すると無線で応援を手配した。
宗谷 真霜さんを経由して海上安全整備局にだ
今は一刻も早く状況を鎮静化させることが必要だ。
例のあれの確保に成功したのであとは圧力をかけてもらうだけだ。
あとは衝撃で気を失っている乗組員の治療だ。
精霊たちが1人1人トリアージをしてくれていたが重傷者はいなかった

「さるしまは放棄するしかないわね」

「申し訳ないです」

「あなたに責任はないですから。はれかぜ艦長、岬明乃さんに話を聞いたら、いきなりの砲弾の雨だったそうなので」

「おそらくこいつが原因でしょう」

「こんなネズミが?」

俺は自分の勘ですがと答えるとともに精霊に分析に回すように指示した。
ライチには化学物質分析室があるため、分析が可能だった

「とにかく分析をしてこいつが何なのか調べましょう。それと白衣を身にまとった方も乗船されていたとのことなので」

彼らからも事情を聴きましょうと俺は提案した。
宗谷 真霜さんはそうねというと一緒にさるしまの艦内を歩いていった
後部甲板はかなりひどい状況だ。ミサイル着弾で大きな穴が開いている

「かなりの威力ね」

「燃料タンクに引火しなかったことも幸運ですね」

自分で言うのもなんだが、最悪撃沈を考えていた
自分の船を守るためには時には厳しい判断が求められる
そうでもしなければ自分たちが死ぬだけなのだ
生き残るというのは過酷な生存競争なのだから

『艦長。大型戦艦が接近中。方位は001度。距離40km。IFFで艦名を識別完了。武蔵と判断できます』

俺が持っている携帯型無線機に連絡が入ってきた。そろそろ集合時間なのだろう

「ヘリを戻せ。格納庫に収容しておけ。無用な混乱は避けたい」

『了解。手配します』

「自分は一度ライチに戻ります。」

「わかりました。こちらの対応は私、宗谷 真霜が責任をもって担当します」

俺は急いで横付けしているライチに戻ると機関を始動させていつでも緊急離脱ができる状態にと指示した

「艦長。一度離れた方が良いのでは?」

「理由は何だ?」

「我が艦の守備のためです。いかに機動力がある我々の艦船と言っても1隻ではやりあえないと判断します」

精霊の言うとおりだ。このまま接近され続ければこちらが攻撃したことは明白だ。
敵対的行為を行った艦として認定されればピンチだ
だがこちらの後ろ盾には宗谷 真霜さんがいる。彼女からの通信はCICでも傍受し続けていた