俺はその後、セシリア・オルコットを保健室に連れて行った。もちろん警戒しながらだ
幸いなことに弾はきれいに貫通している。狙いがどちらだったのかについては調べないと危険だ
今後の俺の行動に大きく影響することは確実だからだ

「状況はどうだ?」

IS学園の保健室に派遣されている医務官に話を聞いた

「幸いなことに弾はきれいに貫通していますので1週間ほどで傷痕は治るでしょう」

医務官の女性の答えに俺はとりあえずホッとした
問題なのは誰が攻撃を仕掛けてきたのかだ。俺は警備室に戻った
そこにはすでに自衛隊の彼らが捜査に入っていた。
もしかしたら国際問題になる可能性があるだけに早期に決着をつける必要がある

「弾の口径は何ですか?」

俺は狙撃された地点で回収できた弾丸のことを聞かれているのだという事はすぐに理解した
おそらくだが、という言葉を付け加えて答えた

「.338Lapua Magだった」

使用された銃の候補としてはいろいろとあるが最も簡単なものはM24SWSだ
有効射程は800m。医務室の情報端末で周辺の各種センサーのデータを調べた
その結果はセシリアが撃たれた直前にヘリが飛行しているのが確認できた
この辺りは民間ヘリはもちろんのことだが、自衛隊などの軍用ヘリも飛行制限区域になっている
飛行するには事前に許可が必要なのだ。

「どこのヘリだ?」

調べたものの識別信号ではわからなかった。
そこで自衛隊のレーダー網にアクセスさせてもらって行き先を調べたところ海上で突然姿を消した
おそらく亡国機業の連中だろう。もしくは反IS団体による攻撃の可能性もある

「一夏さん」

簪が巡回を中断して戻ってきた

「簪、どこのだれかはわからないがこの場所にテロを仕掛けようとする連中が増えたようだ」

「どうします?」

「念のため学園内のセキュリティチェックをするんだ。もぐりこんだ可能性もある」

わかりましたというと簪は部屋を出ていった
俺は弾丸の線条痕を警察などのデータベースと照合する作業に入った

「さて、どこかで記録されていたら良いんだが」

相手は凄腕なんてものではない。素人の犯行という事は絶対にありえない
ヘリから撃ったのであれば風速計測などを考慮してしなければならない。
それができるのは極めて難しく限られた人間だ。軍人ならば特殊部隊の人間だろう
俺でも弾道計算をして発砲するのは極めて難しい。
それも正確に的を射抜くとなるとかなりの訓練が必要だ。
それをやってのけた。問題はターゲットがどちらかだ。
俺なのか。それともIS学園の生徒であるセシリア・オルコットかだ
俺であれば事は簡単なのだが、セシリア・オルコットならばIS学園全体が危険になる