俺はパトロールの巡回に戻った。1年1組には簪が張り付いている
万が一に備えての対応だ。もちろん防弾ベストを着用しているし、銃も装備している
最悪の事態を想定して、専用機であるISも持っているが。
よほどの緊急事態でもない限り使用するなと伝えている
もし持っている事が発覚すると大騒動になる
どこからコアをもらったかを話さなければならないからだ
いくら束さんからだと言ったとしても、今度は束さんがどこにいるかを強制的にも自白させる可能性がある
そういうリスクは冒せないのだ。今はまだ
リスク評価の観点から言って、今は様々な情報を伏せておいた方が好都合だ
問題は今後の騒動についてだ。いったい何が発生するかわからない
何とか放課後を迎えることができた。とりあえず授業中に銃弾のあらしが降る事はなかった

『こちら簪。一夏さん、状況はどうですか?』

「今のところ問題ない。だが警戒態勢を維持しろ。いつどこで狙ってくるかわからないからな」

最大の問題は亡国機業(ファントム・タスク)であるが他の反IS組織が狙ってくる可能性がある
ここには襲われるだけの材料がこのIS学園にはあちらこちらに転がっているのだ
警戒は常に必要である。

「簪、セシリアの行動監視を続けろ。再度狙われる可能性がある」

『了解』

俺は簪に指示を出すと巡回パトロールに戻った
警備する立場としては、これ以上のトラブルは避けたい
生徒に危害が加えられることになればこちらとしても微妙な立場になる
一応、俺は篠ノ之箒の警備を専門にしているが、
巻き沿いで他の生徒にまで被害を及ぶことを避けているだけだ
その理由は1つだ。箒が心の傷を負うのを防ぐため。
精神ケアも俺の担当である。
束さんとの契約で精神的なショックを負わないようにするのも契約の内容に含まれている
その時無線連絡が入ってきた

『一夏さん。簪です。1年1組で不審な行動をする女子生徒を確認』

「警戒態勢を維持しろ。今は手を出すな」

簪はわかりましたと答える
不用意に手を出して爆弾でも爆発されたら迷惑をこうむるのはこっちだ
それを避けるためにも今は状況監視が良い
俺は警備担当として知られているが、簪はそうではないと思っている生徒が多い
それを考えると彼女に偵察を行わさせる方が安全である
相手が行動を起こすのはおそらく休憩時間に入ってからだろう
俺はできるだけ早く1年1組に向かった
トラブルは早期に解決することが優先されることだし箒のいるクラスだ
一応契約の範囲に入っている。箒が狙われている可能性がある以上、リスクは冒せない
とにかく俺は簪が報告してきた不審な行動をする女子生徒を携帯情報端末で監視した
男性である俺が近くにいたら警戒される。
IS学園の監視システムで得られた情報を携帯情報端末で確認しながら監視を続けた

「何をするつもりだ?」

女子生徒は2年生の女性教諭に接近していった。
まさかナイフでも持ち出して女性教諭を刺すのではないかと警戒した
しかし、行動は全く別の物だった。女子生徒は教諭に何かのメモリーカードを手渡していた
情報の横流しの決定的瞬間をつかんだ。すぐに2人の身柄を拘束させることにした
情報流出は各国の利害関係に関わる重大案件だ
そんなトラブルを学園にまで持ち込まれるのはお断りだ