夜、俺が警備室で眠っていると何かの気配を感じた。
とっさに俺は枕の下に置いている銃を手にして、警備室内で誰がいる確認した
基本的に夜の警備室に詰めているのは1人の警備担当者と俺だけだ。だがいつもとは違う
そう感じ取ることができた。

「誰だ。こんな時間に」

腕時計を確かめるとすでに午前3時だ。
迷惑な客でなければ良いがと思いながらも拳銃を片手にもち、慎重に俺専用のスペースの仕切り扉を開けた
すると警備室の電気が非常灯になっていた。おかしい。なにかあったとしか考えられない
一夏は腰につけている無線機で他の警備員に状況確認のメッセージを送った

「誰だ!?」

するとそこにいたのは千冬姉だった

「千冬姉、驚かさないでくれると助かるんだが」

「少し話をしても良いか?」

俺は銃をホルスターに収めるとコーヒーメーカーがあるところに行き、カップにコーヒーを注いだ
それを千冬姉に渡した

「こんな時間に何かあったのか?」

「一夏、少し話がしたい」

「………少しぐらいなら」

俺はそう言うと警備室に設置されている応接セットのところまで移動すると対面する形で座った

「どうして束のところにいた」

「契約だから。守ってくれるだけで良いといわれた。それに俺は契約を重視する。それが犯罪であろうと悪人を処罰するだけだ」

「そんなことは警察に!」

「法律では人は裁けない。それに法の外でしか解決できない事もある。俺はもう紙一重を超えているんだ。今更戻るつもりはない」

紙一重の一線を越えた。もう織斑一夏には戻れない。俺は猟犬だ。いったい食らいついたら離さない
必ず仕留め倒す。だから依頼がよく来るのだ。この猟犬というコードネームもフェンリルに育てられたからつけられた。
フェンリルよりは小柄だが、いったん食らいついたら離さない

「お前はそれで」

「千冬姉、これが俺の生き方なんだ。たとえ何人に止められたとしても道は変わらない」

俺は再び眠るには話過ぎたと思い夜間巡回に向かった
静かな夜だ。穢れの知らない星空だが、俺は穢れにまみれている
もう2度とこの穢れを落とす事はできない。この仕事についてから分かった
巡回警備をしていてすぐに殺気に気づいた。俺は気づいていないふりをしながらもスタジアムの方に移動した
そして、警備担当としてのIDカードでスタジアムに入る。中央に立つとそろそろ隠れていないで出てきたらどうだと言ってやった
すると楯無が現れた。懲りない女だなと思った

「それで今回はどんな趣向か聞いておこうか」

「生徒会長として判断をしたまでよ。あなたの実力を判断させてもらうわ!」

いきなりISを起動させるとこちらに向かってきた。殺し合いをしたいみたいだ
俺は起動させることは明らかにこの状況下では不利だと考えた
おそらく彼女の狙いは俺のIS所持している事を分からせて学園に取り込もうというつもりなのだろうが
その時だ。千冬姉が割り込んできた。今回ばかりはナイスタイミングだとほめてやりたい
下手をすれば殺していたかもしれないからだ。楯無を

「織斑先生!なぜ止めるんです!」

「ISはスポーツだ。人殺しの道具ではない」

俺はそれを聞いた時思わず笑いだしてしまった

「よくもそんな茶番が言えるな。千冬姉。最初に軍事的に利用したのは千冬姉なのに」

俺はそう言うとスタジアムを出ていった