俺はとりあえず警備室で監視カメラの映像をチェックしていた
さらに各所に設置したセンサーに不審なものが探知されていないかも入念に確認した
些細なことであっても今のこの状況下では見逃すことはできない
もしトラブルという当たりくじを見つけ出したらすぐに摘発しなければどんなバカ騒ぎになるか

「それにしても知らない方が幸せっていうのは当たっている。千冬姉」

俺が千冬姉に話しかけるように声を出すと警備室に入ってきた
何か悩み事でもあるのかどうかについては知らないが。
陰でこっそり何かされるより、時には正面からぶち当たった方が良い時もある

「束とはなぜ契約をした?」

「俺はビジネスをしているだけだ。必要なら邪魔者は排除する。たとえそれが殺しであってもだ」

「一夏。もうやめてくれ」

千冬姉が何度求めることをしても俺は立ち止まるわけにはいかない
前に進むしか解決することはないのだ。

「千冬姉。この道を選んだ時にもう覚悟はできている。いつかは小鳥が巣立つのと同じで俺も自由に広い空を飛ぶ」

ただそれが早いか遅いかの違いだけだと、千冬姉に伝えた
千冬姉の顔を俺は見ることはしなかった。
どんな表情をしているかは想像できる。家族の縁を切ると宣言したのだ
千冬姉にとって俺はたった1つの家族だ。千冬姉は厳しいけどそれは俺のことを思っての判断だ
そんな俺からもうさようならだと言われて簡単に納得するわけがない
すぐに分かったと納得する人物がいたら、その方がむしろ驚きだ
とにかく俺はIS学園内の監視カメラの映像をチェックした
今は迷っている暇などは存在しない。少しでも早く問題解決のために動かなければならない
立ち止まれば死ぬ可能性が高まるだけなのだから
だから歩み続けるしかない。たとえ血まみれの道であってもだ
すでに俺が歩んでいる道は血まみれの状況である
簪も同じ道を歩むと決断したのだ
まだ本当の血まみれの道を見せていないが、いつかはその光景を見ることになるだろう
その時に迷うことなく前を歩み続けることができるかが殺し屋になれるかどうかがわかる

「セシリア・オルコットの経歴を調べるか。それも深いところまで」

俺は彼女が生まれてからここに来るまでの記録をすべて調べ上げた
彼女は名門貴族の出身だ。両親はすでに死亡している
両親の死亡原因は列車事故が原因であった

「いろいろと苦労しているようだな」

それにしてもイギリスに喧嘩を売る人間はかなり無茶なことをしたものだ
どこの組織が工作活動のために絡んでいるのか調べるのもかなり苦労している
コネで記録を調べてもらっても良いのだが。簡単に事を進めるかどうかはまだ決めていない
下手に工作活動をしていると情報が漏れると俺の活動に影響が出てくる
そんなことになればIS学園以外の仕事にも影響が出てくる