俺のあとを追うかのように千冬姉は近づいてきた

「一夏、それをどこで」

「分からないと思っていたのか?千冬姉の戦いスタイルは分かりやすい。昔と変わっていない」

そう、あの白騎士事件の時の映像を確認すればすぐにわかった。あとは束さんに吐かせた
食事をエサにすると素直にしゃべった。こんな世界にした事には申し訳ないと言っていたけど

「あの戦いで何人が死んだからとは言わない。でも人殺しには違いない」

「一夏。やめてくれ!」

「現実さえも見えないのか?人殺しには違いない。俺達姉弟は」

「一夏!」

たとえどんなに苦しくても、それを抱えて生きていくしかない。俺の唯一の才能は人殺しができることだから。
千冬姉は過去から逃げている。だから未来を見ようとしない。
今の現状に甘んじているのだ。未来を見なければないのに

「千冬姉。過去ばかり見ていたら現実を見失う」

俺はそう言うと警備室に戻る途中で無線機からある連絡がきた。不審人物がいると
その場所に行くと数名の女性と少女がたっていた。相手の素性はすぐにわかった。俺の中でのブラックリストに載っているためだ

「亡国か。何の用事だ」

「織斑一夏。我々と手を組まないか。お前の実力はここではいかせていない。もっと活躍できる場を提供したいと思っている」

「具体的にはどんな場所だ?」

「我々と一緒に未来を変えてみないか。こんなおかしな世界、破壊したとは思わないか」

確かに今の世界はおかしい。ISが登場する前はまだ平等があった。しかし今はどうだ
現実はおかしな方向に向かって進んでいる。もう引き返せないところまでだ

「そちらの取引材料は」

「我々はISを潰して平和な世界に。あんな物があるおかげで男女の関係がおかしくなった。こちらの協力者にキャスパーがいる」

そう言われてはい、分かりましたとは答えられなかった。こいつらの事についてはブラックマーケットでもよく話に出てくる
特にヘクマティアル家のキャスパーとはビジネスがあるとココさんからすでに聞いていた

「少し時間を。すぐには返答できない」

分かったというと彼らは姿を消していった。
それにしても厄介な事になったものだ。キャスパーと亡国機業に関連性があるとは
ココさんに情報をもらう必要がある。どれだけあの組織がまともなのか。そして正しいのか
まぁ、世の中正義なんてものは無くても進むものなのだが

「守るべき者ではない連中とは俺は契約しないからな。正義の味方とは言えないのは俺も同じか」

俺は正義なんて言葉を口にしているが正義なんて言葉は誰から見た正義なのだろうか
自分から見た正義。相手から見た正義。第三者から見た正義
どれが正しいのかはわからない。俺達姉弟は血にまみれた世界で生きている