いつものように巡回をしていると、俺が持っている携帯端末に侵入者ありの情報が
どこの間抜けか知らないが裏口からノックするとは。センサーが各所に設置され小さな異変でも俺の端末にデータが送られてくる
「行ってみるか」
少し軽く走りながらそこに行くと、そこには意外な人物がいた
楯無だ。どういうつもりか知らないが。わざわざ学園の裏側に誘い出すためにセンサーを使うとは
「あなた、どういうつもり?私の妹に」
「ずいぶんとお怒りだな。さすがは妹を溺愛するあまり遠ざけてしまった姉の出番ってわけだ」
妹を心配するのは分かるが彼女の自由をなくす権利はないはずだ
小鳥がいつかは巣立ちをするように、更識簪にも成長していくにはハードルを越える事が必要だ
「ふざけないで!」
楯無はどこで入手したかは知らないが銃を持っていた
「俺に銃を向けてきたやつで生き残っているのはフェンリル先生だけだ。死ぬ覚悟はできているのか」
あの人には俺はまだ勝てない。実力差があり過ぎるからだ。
だがいづれは俺の地位にしたいと思っている目標だ。嫌な目標というやつもいるかもしれないが
そんなことはどうでも良い事だ
「何を吹き込んだの!」
「もっと冷静な話し合いをするべきだと俺は思うが」
「うるさい!」
相手がトリガーに手をかける前に素早く対応して押し倒した。
「銃の扱いが下手だ。それにISに頼り過ぎだな。冷静に対応できないから安全装置がかかったままだというのに」
残念だったなと伝えて、さらに銃は警備担当して預かっておくと言ってその場から去ろうとした
これでおさまるようなやつではない事は分かり切っていた
「あなたにはわからないわ!この仕事がどれだけ汚いか!」
「だから妹を遠ざけた。それで納得すると思うか?実の妹を思うのは勝手だが、仲間外れされた者の気持ちも考えてやるべきだ」
「それは・・・・・・・」
「ただ遠ざけただけでは誰もが納得すると思うな。本音で語り合う事も重要だ」
俺はそう言うと警備室に戻っていった。このセリフには自分自身への戒めでもあった
俺にも千冬姉との関係は必ずしも良いものとは言えない
改善したいと思っているが、もし接近しすぎて何かあった時には敵に塩を送る様なものだ
こういう家業をしていたら家族という関係は自らの命の代償となりかねない
警備室に戻ると俺はまたソファで仮眠を取り始めた。
ただし手には常にホルスターに入っている銃をいつでも抜ける状況でだが
「眠っている間もこんな習慣がつくなんてな」
楯無にあんな助言をすること自体おかしいのだから。俺も甘くなったと言わざるえない。