あのスタジアムでの一件以来、常時イージス護衛艦が沖合に展開されるようになった
日本政府も黙っているわけにはいかなかったようだ。俺がいる事を知って依頼をしてくるくらいだからだ
だがその仕事は断っておいた。俺は篠ノ之箒を守る事が目的でここにいるという事を伝えた
そのおまけで手を貸しているだけだと。俺は生徒会室に来ていた。もちろん楯無からある物を受け取るためだ

「まったく、どうしてあなたにお金を払わないといけないのかしら」

「弾代もタダというわけにはいかないからな」

俺は楯無から分厚い封筒を受け取っていた。まぁ仕事をしたのだから報酬を受け取る権利はある

「楯無の金払いの良さに参るよ。良い金づる拾った」

「あなたって人は!」

からかいやすい奴だ。すぐにこちらのペースに引き込める
もっと暗部にいるなら冷静な対応をするべきなのだろうが

「冗談だ。まぁ今後は気を付けるんだな。俺はある程度しか働かない主義だからな」

「それってつまり篠ノ之箒の生命にかかわる事がなければ問題ないという立場だからかしら」

「好きに思っていればいいが。俺は契約で動いている。それだけは言っておく」

俺は警備室を出ようとすると楯無がある事を言いはじめた。
俺にとっては最大の禁句をだ

「織斑計画を知っているかしら?」

「ああ、知っている。詳細な事も含めてな。それがなんだ?」

「あの研究に携わっていた施設と関係者が全員皆殺しにされている事について意見は?」

俺はこういった。殺されて当然のやつもいると。楯無はどうやらある程度情報を掴んでいる可能性があった
だがこちらから詳細な情報を話す必要はない

「あなたを殺人罪で逮捕する事はできるわ」

「それで俺を脅しているつもりか?俺はお前よりも深い闇を知っている。政府の連中にもいろいろとコネがある。電話1本で解決だ」

必要ならお前達を殺しても良いとまで言ってやった。俺は俺のやり方でケリをつける
文句は聞かないし聞くつもりもない

「あなたって、金でしかものさしをはからないのかしら?」

「俺には俺なりの信念のもとで動いている」

話は終わりだと俺は言うと俺は生徒会室を出ていき巡回に戻った。
もう夕方だ。太陽が水平線の向こうに沈もうとしている

「平和か」

平和など存在しない。犠牲の上に成り立つ平和なら存在するが
完全な平和などありえないのだ。現実問題として
人間が生きていくうえで争いのたねは常にどこかに付きまとう
そして経済とはその血塗られた上に成り立っているのだ。
だからこそ俺のような仕事が必要とされる。もし世の中が完全に平和なら俺のような仕事はないだろう
世界で平和が必要だと言っているのはミサイルや武器を売りながら争いに加担しているようなやつばかりだ