あれから数日。平和な日々が続いていた
いつもの警備業務だけであるが、いつもどこかで監視されているのは分かっていた
楯無だ。あいつは諦めが悪い。というよりもしつこいのだ
だが、あいつも少しは利口になってきた。一定の距離を保っての監視だ
一線を超えるようなことはしなくなった

「まぁ、進歩したとは言えるな」

問題なのは亡国機業だ。連中が何を仕掛けてくるか。
俺は箒を守れさえすれば学園がどうなろうが知ったことではない
契約は必ず履行する。それこそが俺の価値なのだから
プロとしての数値を示す値でもある。いかに任務を全うしたか
ちょうど屋上の給水塔のところで日向ぼっこしている時携帯端末から通信を知らせるアラームが鳴った

「そろそろかかってくる頃だと思っていたが。随分と時間がかかったな」

『あの研究所は私達で処理するつもりだったのに手間が省けたわ』

亡国機業も狙っていたようだ。ただ、彼らがただの研究所を破壊するだけとは思えない。研究員を利用する可能性があった
だから俺はすべてを消したのだ

「まぁサービスしておく。俺にとってもあの手の研究施設は放置できないからな」

『でもあそこまで派手にやらなくても良いんじゃない?マスコミは騒いでいるわよ。テロかもしれないと』

「俺はテロリストの分類に入るからな。間違ってはいない。それにだ。あんな研究所を放置している政府に問題がある」

『それについては同意見ね。政府はまだ織斑計画を忘れられないようね。今度研究所を見つけたら知らせてくれるかしら』

気が向いたらなと言って通信を切ったが、俺にはやる気はまったくない
連中に利用されるのだけはごめんだからだ。俺は猟犬だ。集団で群れるのは好きじゃない
一匹狼の方が何かと都合が良いのだ。そんなことを考えながら、校舎の方を巡回している時だった
侵入者がいるとの連絡を受けた。そいつは裏の海側から侵入してきたようだ。
位置情報を確認すると俺は箒のクラスの真下に出ることが分かった
俺は急いで走ると箒のクラスのドアを開けると

「何だ一夏。授業中だぞ」

千冬姉がそう言ったが俺は何も答えずに向こうの窓に向かって走る。
ホルスターから銃を抜いて窓ガラスを破壊そこから飛び降りた
ここは2階だ。いくら2階でも安全とは言えないが緊急事態だ
俺が降りるとちょうど犯人の正面で会う事になった
生徒が見ている事も考慮して始めは格闘術で対処した

「お前を不法侵入の容疑で逮捕する!」

ところがこいつはしつこく俺に殴りかかってきた。俺は頬を差し出す代わりに膝に鉛の弾をぶち込んだ

「おい!ここまでやるか!」

俺の銃の発砲音に気づいたのか多くの生徒が窓から見ていた

「お前はとんでもないやつを怒らせたという事だ。猟犬をな」

「お前が、あの猟犬だと!?」

耳元でささやいたのに大声で言ったので俺は銃口を膝に当てて喋れないようにした

「もう1発食らいたいか!」

「手を引く!だからフェンリルには連絡しないでくれ!」

昔、ひどい目にあわされたようだ。いったい何をしたんだか。先生は

「とにかく、救急で病院に行ってもらうが逃げたら頭に穴が開くことは俺が保証してやる」

そう言うと他の警備担当もやってきたので身柄を預けた

「こいつを頼む」

俺はとりあえずその場から引き上げる事にした