あの騒動によって面倒な報告書を書かされる羽目になった
さらに侵入ルートを調べてセキュリティ強化。まったく損な仕事だ

「一夏さん。少し良いですか?」

警備室を訪れたのは楯無の妹だ
俺は話しぐらいなら聞いてやっても良いかと思い構わないぞと答えた

「どうしてお姉ちゃんはあなたのことを目の敵にしているんですか?」

「あいつはお前のことを心の底から愛している。だから汚い世界を見せたくないんだろうな」

「汚い世界ですか?」

そう、俺達のように血まみれの世界に妹を近づけたくない。
俺はお節介かもしれないがあいつのことは分かっている。本当はこの妹を大切にしているのだ

「血まみれの現場に行かせたくない。それがあいつの本音だ。俺達の世界では人殺しは日常茶飯事だ」

それで稼いでいるのだから。そんな世界に妹を巻き込みたくないんだろうなと言ってやった
すると彼女はどうしてそれを私に言ってくれないんですかと聞いてきた

「真実を知らない方が幸せな事もある。世の中はゆがんでいるだから。手を繋いで仲良くいこうとはいけない世界だからな」

「1つだけお願いがあるんです」

俺は時間があれば付き合うがと言うと、銃の取り扱い方法などを教えてほしいとのことだった

「意味を分かっているのか?そういうのを学ぶという事は危険な世界に行くという事だぞ」

彼女はこういった。自分の身を守れるようになりたいだけだという事なので
俺は時間がある時なら付き合ってやると。ちょうど今からなら1時間空いているから練習には付き合えるがと
彼女はよろしくお願いしますと言ってきた。まったく姉妹揃って面倒な
まぁいい、人に教えるという事は自分にとっても復習をするのと同等だからだ
俺は楯無の妹、いや更識簪と一緒に射撃訓練エリアに行った
俺はいつも装備しているグロック17を取り出す。彼女には小型リボルバーを渡した。
まだ9mm口径を撃つには早いと判断したからだ

「銃に慣れるのは良い事もあるし悪い事もある。気を付けて扱え」

リボルバーを持たした。発砲すると的に命中した。数発撃ったがすべて的に命中
銃の扱いはまだまだだが筋はかなりいい
上手く訓練すれば射撃においてはいい成績を出せるだろう
ただしそれは的がただの的の場合に限るが
実際に人を撃つにはそれなりの覚悟が必要だ
自分がそいつの人生を終わらせる。その事の重さをよく理解しなければならない
だからこそ俺は殺されても当然の人物しか狙わないのだ
法では裁けない人間を。法律は味方してくれない。ただのシステムだ
そんな人々を救うには法の外に出てやるしかない
それが俺のやり方だ。文句を言うやつは無視するだけだ。

「これからも銃の扱い方を教えてもらう事はできますか?」

「楯無が必死になって守っているのにそれを反故にしたいのか」

俺としては迷惑な事になるだけだが、どことなくほっとけないと思ってしまった
俺もまだまだ甘い人間だ