俺は理事長室に呼ばれた。
ISの絶対防御を突破した弾の件についてだ
「一夏君。今回の件は問題なるよ」
「なら俺をクビにすればいい。悪いが秘匿特権を捨てるつもりはない」
「一夏」
千冬姉が俺に止めるかのように言うが、俺は情報開示するつもりはない
もし開示するくらいなら俺はすべてを隠蔽するつもりだった
ちなみにあの暴走事故の時の監視カメラの映像はすべて束さんによって潰してもらった
人の証言だけはどうにもならないが。絶対防御を突破できる弾等の話を信用する奴は少ない
隠蔽自体はそれほど難しい事ではない
「一夏、絶対防御を破った弾を認めろ」
「千冬姉、証拠はあるのか」
楯無が睨んでこちらに向かって言ってきた
「映像記録はすべて削除されている以上証言だけが頼り。あなたの仕業ね」
束さんに頼んであらゆる情報を書き換えてもらったのだ。
もちろんそれぞれのISにもその時の記録映像を抹消するようにうまく裏工作をしてもらった
「どうだかな。とにかくだ。明確な証拠を並べない限り俺は認めない。警備に戻る」
そう言って俺は理事長室を出ようとしたとき、ある事を思い出してこういった
「もし、仮にの話だがISの絶対防御が破れる弾があるなら、世界中で男女関係が元に戻るだろうがこっちにとっては痛手だ」
「一夏!」
「織斑一夏!」
千冬姉と楯無が俺を責めるかのように言うが事実なのだからしょうがない
俺にはもう元に戻る方法はない。完全に壊れたのだから
「これだけははっきりしておこう。俺は猟犬だ。邪魔をすればたとえ地面が血まみれになっても歩みを止めない」
そう言うと俺は理事長室を出でる
そのまま警備室に向かった。その途中で携帯電話に着信が入ってきた。相手は亡国機業だ
「なかなか楽しいショーだった」
『こちらとしてもある種の警鐘はならせた。あとは芽吹くかどうかだ』
「俺としては芽吹いても芽吹かなくてもどちらでも良い。興味のない話だからな」
そう言うと通話を切った。
『ピーピーピー』
ココ・ヘクマティアルからの連絡だった。来るとは思ったが狙いはあの弾の製造に関する事だろう
「ココさん。そろそろ連絡来ると思っていました」
『キャスパー兄さんから聞いたわよ。派手な事をしたって。ねぇ、あの弾を大量生産しても良いかしら?』
「コストの方がかかると思いますが」
『でも売れる事は確実な商品なんだけど』
確かにISの絶対防御を破壊できる弾となると高値でも取引されるだろう
だがそれではこちらが困る。今は
「もう少し時間をください。下手に量産されると対抗策が練られる恐れがありますので」
『わかったわ』
俺は世の中上手くいかないものだと思いながらも警備室に戻っていった
その道中に保健室に寄っていくことにした。ちょっとした気まぐれだ
通り道にあるから別に良いかと
室内に入るとラウラ・ボーデヴィッヒがベットで眠っていた
保健室の担当に様子を聞くと疲れているだけだという事だ
俺の弾の影響がなかっただけ幸運だ。もし射程に入っていたら今頃天国に行っていた
運の良いやつだと思いながらも、とりあえず様子は見たことだし警備室へと再び戻る行動を起こした