IS学園 射撃訓練室

俺は簪と一緒に来ていた。朝なら楯無に邪魔されない事を分かって来たとのことだった

「こいつを使ってみるといい。S&W M686だ」

俺は銃器保管用の倉庫からそいつを持ち出してきた。いきなり大型拳銃を撃たせるわけにはいかない
まずは下準備が大切だ。その事はフェンリル先生からよく教わった
何事も基礎訓練が重要だという事を。基礎訓練をしっかりしておけば何事にも対応できる。
基礎がしっかりできているからこそ、様々な応用ができる
簪は装填されている弾を確実に発砲。的にはほとんどど真ん中に命中していた

「上出来だ。だが本当に良いのか?お前が決めたなら俺は止めないが」

「お姉ちゃんに何を言っても無駄です。私の意見なんて聞く気はないんです」

俺はある事を分かっていた。射撃訓練室の外で楯無がいる事を
だがあえて簪には何も伝えるつもりはなかった。
偽善者かもしれないが俺としては簪にはこの道は向いていないと思っていた
確かに銃の腕は良い。だがそれと俺のやっている仕事は別だ
さまざまなものを犠牲にしなければならない。何もかも捨て、闇の世界で生きていく
それがどれだけ苦痛なものであるかは俺はすぐに知った。だがこれしか道はないと思った
毎日1人きりなら俺はいてもいなくても同じなのだと
すべてを捨てて、フェンリル先生に教わることを決断した

「弾はまだある。好きなだけ練習すれば良い。俺はちょっと外の空気を吸ってくる」

「ありがとうございます」

俺はひとまず訓練室から出るとドアの横に隠れるように立っている楯無に話を振った

「結局のところ、お前は失敗したな」

「否定はしないわ。あの子は優しすぎる。暗部としては無理だった」

「それに関しては俺も同意見だが。だが自分を守る事を教えるべきだったな。たとえどんなにつらい事でもだ」

俺はそう言うと室内に戻っていった
俺が室内に戻ろうとしたときはもう後悔しているわと言って訓練室のそばから去っていったのを気配で分かった
室内に戻りターゲットの的を見るとほぼ中心に命中していた

「良い腕だ。ISにも活かせるくらいにな」

あまり連続で撃っても体に良くない事から俺は今日はこの辺にしておけと言った

「一夏さんって本当は優しいんですね」

「俺が優しい?そう思うのはごく一部だけだ。俺は切り捨てるのが上手だからな。必要な時になったらお前もそうなるぞ」

「でも今は優しい。違いますか?」

そう思うなら好きに思えと言うと簪が持っていた銃を回収すると、今度は俺が銃の訓練を始めた
装備しているグロック17をホルスターから抜いて、的に向かって発砲した
何度かマガジンを交換して全部で50発近く発砲した。的の中心をすべて撃ち抜いていた

「すごいですね」

「これくらいは当たり前だ」

こういう事で仕事をしているのだから当然と言えば当然だ