その日の夕方、俺は警備室で仮眠を取っていた
昼間に仕事をしたから少しのクールダウンの時間が欲しかった
すでに授業も終わり、生徒たちは部活動も終わりの時間のため寮に戻っていく女子ばかりだった
俺は思いのほか眠り過ぎたなと思いながらも、巡回のための工程表を作り始めた

『ピーピーピー』

「ココさん。仕事が早いですね」

『1万ドルで手を打つけど問題ないかしら』

俺は今から電子送金するので確認してほしいと言った
彼女は確認したというとデータを送ってきた
IS学園を狙っている奴はかなりいることが分かった
面倒なことこの上ない。亡国機業もそのうちの1つだった
彼らにとってIS学園はもっとも重要なターゲットだ
だが俺がいる以上下手に手を出せばフェンリルに追い回されることになる
そういう事態は避けたいというジレンマになっているのだろう

「俺としてはこんなところに長期間いるだけでもつらいんだがな」

愚痴りながらも報告書を作成していた。そこに更識簪が入ってきた

「どうかしたか」

「私を強く鍛えてもらえませんか」

突然なことに俺は驚きながらも、意味は分かっているのかと聞き返した
俺が鍛えるとなるとただの武術ではない。暗殺などの戦闘訓練だ。
一線を超える事になるかもしれない。それでも良いのかと俺は聞くと

「この前の射殺の時に分かったんです。私もお姉ちゃんみたいに強くなりたいと」

「暗殺術を学べば解決する事じゃないぞ」

「でも鍛えられれば、ISでの鍛錬にもつながる。基礎訓練が重要ですよね」

俺は仕方がないと思い教官役を引き受ける事にした。ただし条件を出した

「一応言っておくが、俺の訓練は甘い物じゃない。厳しくさせてもらうぞ」

すると彼女は覚悟はできていると言った
俺が教えるのはただの護身術じゃない。暗殺術やテロの方法。
やり方次第では戦闘能力向上に繋がるが、一歩間違えれば暗殺者に育ってしまう
報告書をとりあえず作成を終えて、決済済みの棚に置くと学園内の格闘術訓練室を誰も使っていない事を確認

「それじゃ、まずは格闘術からだ」

「はい!」

俺と簪は一緒に格闘術訓練室に向かうと更衣室で格闘術訓練用の服装に着替えた
衝撃緩衝用の防護道具を簪に装着させる。俺はそういうのは着用しない
俺はゴム製の小型サバイバルナイフを渡して訓練を始めた

「準備は良いか。言っておくが俺は手を抜かない。俺を殺すつもりでかかってこい」

「わかりました」

結果は数分で結果は出た。一夏が本気にならなくても格闘術で一夏が余裕に勝った
当たり前と言えば当たり前だが。戦闘格闘術では一夏にすぐに勝てるわけがない

「まだあきらめません」

「続きをしたいところだが後ろに怖い顔を浮かべたお前の姉がいる。俺は殺されたくないから今日のところはこれだけにしておこう」

また格闘術のレクチャーをしたければ時間があればいつでも付き合ってやると伝えた。
俺は格闘術訓練室を出ていこうとするとき言ってやった。

「楯無。お前がいくら抵抗しても妹の歩みは止まらない」

そう言うと俺は訓練室を出ていった