その日の夜、東京都内のある雑居ビルの屋上
俺はいつものようにそこで狙撃ライフルを構えていた。
ターゲットの女は高級マンションのリビングでかなり喜びの笑みを浮かべていたが
その笑みが死へのラストスパートだとは思ってもみないだろう
いよいよ発砲しようとしたとき、突然邪魔が入った。あの楯無の関係者だ。面倒な事をしてくれる。
あの女を守ろうとしていた。俺は調査をした時からターゲットがかなりの悪さを知っていた。
何十人もの男性が被害にあってきたか。そんな彼らの嘆きを放っておくわけにはいかないし、これは仕事だ
迷うことなく発砲しようとしたとき、上に気配を感じた
ISを起動させて俺の上にまるで立ちふさがるかのようにいた

「一夏君、悪いけど彼女には法の裁きを受けてもらう事になったわ」

「俺は仕事をさせてもらう。悪いな」

そう言うと携帯電話を取り出した。実は狙撃はフェイク。実際は爆死をというのがリクエストだ
どうやら相当な怒りを抱えていたようでただ撃たれて死ぬだけでは物足りないようだ
だから俺は事前に部屋に侵入して爆薬をセットさせてもらった
携帯電話の番号を発信すると、マンションのあの女の部屋から大規模な爆発があった

「一夏君!」

「俺は仕事をする。邪魔者は抹殺するのが俺のやり方だからな」

「あなたって人は!?」

お前は仕事は仕事と割り切れないところが甘いなと指摘させてもらうと撤退しようとした
だが、彼女の感情はかなりお怒りのご様子だった。まぁ、俺の仕事を邪魔した段階でこうなる事は想定していたはずだ
それができないようでは本当の暗部として生きていくことはできない。
綺麗事では人は救えない。そしてルールの中で居続けるのはただのどこにでもいる家庭で飼われているペットと同じだ
そのきれいごとを捨てることができなければ、プロとは言えない

「俺は別に殺人を正当化するつもりはないが、悪者はいつか裁かれる。だが法ですべてが解決するわけではない」

そう、法律は味方ではない。ただのシステムに過ぎないのだから。
どれほど正しい法律でもそれはシステムであり、システムが機能しなければ法律も機能しない

「楯無、これだけは言っておく。俺の目の前で立ちふさがるというならそれなりの覚悟と度胸を見せるんだな」

そうしなければ相手にならないというと彼女はさすがに怒りを覚えたのかISで攻撃してきた。
俺はとっさに嫌だと思いながら、自分の専用機を起動させた。

「あなた!ISを」

「俺はISの開発者である束さんのところでセキュリティを担当していた。ISぐらい持っていても不思議ではないだろ」

「でも男であるあなたが」

「それについては誰にもわからないな。だがこれだけは言っておく。邪魔をするな。俺は容赦はしない」

決してなと言い切ると屋上から引き揚げていった
俺はその途中で携帯電話で束さんに連絡を入れた
大至急証拠となる映像データを削除してもらうためだ

「束さん、1つお願いがあります」

『もうやっているよ!いっくん!』

「仕事が早くて助かります。できるだけ最優先でお願いします。もし朝までに終わらなかったら面倒な事になるので』

「わかったよ!」

「ではよろしくお願いします」