簪の訓練を終えると俺は更衣室で服を着替えると巡回に戻った
もう少しで部活動の時間も終わる。俺ものんびりしたいなと思っていた

『ピーピーピー』

楯無から俺の携帯電話に着信だった
どうせ嫌味でも言いたいのだろうと思いながらも電話に出た

「何か文句でも言いたいのか?」

『少し話があるのよ。生徒会室に来てもらえる?』

「わかった。すぐに行く」

念のため、対IS用銃弾が装填されているマガジンを持っているのを確認。
それから校舎の生徒会室に向かった。すでに部活が終了している時間なので校舎内は静かだった

「静かだな」

生徒会室に到着すると室内から大声で怒られている声が丸聞こえだった

「まったく、少しは成長という言葉は知らないのか」

俺はため息をつきながらも生徒会室のドアをノックして入っていった

「何か緊急の用件か?」

楯無は少しねと言った。俺は何を聞かれるかは予想ができていた
一番大切な妹の話であることは分かっていた

「あの子にこれ以上危険なことをさせないでもらえないかしら」

「お前はシスコンか。聞くだけ無駄だったな」

まったくもって、妹のためなら手段を択ばないのだから。
それが本当に彼女のためになっていると思い込んでいる

「大事な妹を私達が居るような危険な世界にいれたくないの。分かってくれるわよね」

まったくどこまでも妹のことを大切に思っているかはわかるが

「俺は来る者は拒まず。去る者は追いかけない主義だからな。簪が嫌というまでは付き合ってやるだけだ」

「どうしても分かりましたと返事はしてくれないみたいね」

「お前も妹離れをするんだな。まるで親鳥が小鳥を守っているようにしか見えないぞ」

俺はそう言うと生徒会室を出ていき警備室に戻っていった
校舎の廊下を歩いていると外に夕日が見えた
俺は彼女のことを思い出していた。この人生でたった1度の出会い
たった数日でも彼女との時間は楽しかったし嬉しかった
でも彼女はもういない。俺の目の前で殺された。ボディーガードが仕事をミスして護衛対象が殺されるなんて
最悪のミスだ。彼女が息を引き取る直前に俺にペンダント渡してきた。
ペンダントには2人で撮った写真が入っていた。彼女は俺の腕の中で息を引き取った
そんな彼女のことと同じような考えを俺は簪に感じているのかもしれない

「もう1度会えるなら、やり直したいな」

彼女がいなくなって俺は歯止めが利かなくなった。
まるで坂道を下るボールのように俺はどんどん危険な仕事をこなしていった
彼女がいた頃はまだここまでひどくなかった
生きていてくれたら、きっと今とは違っていただろうが。今更そんなことを言っても仕方がない
だからこそ俺は彼女が失ったものを背負って生きていくしかないのだ