林間学校の初日は砂浜のビーチでの自由行動だ
誰もが水着を着て楽しんでいる。俺は高台から狙撃銃で警戒していた
無防備な瞬間が最も危険だからだ。ましてやビーチで遊んでいる時に狙われるとは思ってもいないだろう
俺がもし殺すならこのタイミングは外さない。ビーチの沖合にはイージスシステム搭載の護衛艦が停泊している。
彼らから得られたデータはこっちの携帯端末にも送られるように要請しておいた
今のところ不審な点は確認されていない

「何事もなく時計の針は進んでほしいな」

『ピーピーピー』

またしても衛星携帯電話が着信を告げていた

「誰だ?」

『あなた、何をしているの?』

いつものように非通知だったため誰なのか確認した
声のトーンでだいたいの予想はついたが念のためだ

「亡国機業か。俺はただの見張りだ。今ここでやりあいたいのか?」

『フェンリルから連絡があったわ。あなたも少しは協力してくれるってね。本当かしら』

全面協力というよりは中立より少し協力側にいるという事に過ぎないと言ってやった

『下手に介入しないでもらえると助かるわ』

「分かっている。だが篠ノ之箒に何かありそうなときは問答無用で介入する」

『彼女には手を出さないわ』

その方が俺としても対応しやすい。
俺は狙撃銃のスコープで砂浜を見ながら周辺レーダー情報も時々確認していた
アメリカ海軍の艦船が沖合に展開している事は確認済みだ。さらに海上自衛隊の護衛艦もいる
表向きは共同での実験なのだろうが、実際はアメリカ側の意向が大きく反映されている

「さてどうなるか」

そして俺の持っている携帯情報端末がアラートを鳴らし始めた
試験運転中のISに異常データが転送されているという事を示すものだった
ショータイムだ。すぐにビーチにいた生徒を千冬姉が集めるとビーチから旅館に戻っていった
俺も引き上げることにした。

「ここから面白くなってくるかもしれないな」

俺はさっさと旅館に戻った。あまり遅いと疑いを持たれる恐れがある
旅館に戻って千冬姉と専用機持ちだけで計画が練られていた
その中には意外な人物が混じっていた

「いっくん!久しぶり!」

いつもの服装に兎耳をつけた束さんがいた。

「束さん。元気そうですね」

「一夏、何の用件だ?」

「別に。ただいろいろと情報を集めるのに盗聴なんて真似をされるのは嫌だろうと思って直接出向いただけだ」

だから俺はこの場にはいない者と思って話をすればいいと言った
千冬姉はそうかと言うと別に追い出す事は無かった
俺は作戦内容を聞きながら対応措置を練っていた
最悪の場合、遠距離から攻撃をしなければならない。俺がISを持っている事は秘密だ
もし発覚すれば大問題になる。束さんは箒のためにISを用意してきたようだ
これを機会に束さんは既成事実を作るつもりだ
その後の作戦会議は順調に進み地上と上空の両方から攻撃を仕掛ける事にした
地上からはラウラ・ボーデヴィッヒ。空中戦は箒とセシリア・オルコットと凰 鈴音が担当する事に
そこで俺は対物ライフルの用意を行って射程ギリギリの位置にポジションにつくことにした
もちろん対IS弾でだ。