翌日の夕方から俺は簪の基礎訓練から始め、指導を行い始めた
簪は俺の厳しい訓練についてきていた。はっきり言って彼女の実力はなかなかのものだ
初めは俺の訓練についていくことはできなかったが、次々とマスターしていった
彼女は鍛錬を通じてISの代表候補生としての資格を返還する事も考えるようになっていた
数日後にはどこで鍛えているのかは知らないが徐々に体が訓練に慣れてきたようだ
最近は近接格闘術以外にナイフ格闘戦などの鍛錬にもついてきた
彼女にも元々才能があることが分かった。普段は隠れていてわからないのだが
素質は十分にあることがわかった。彼女の努力と頑張りはかなりのものだ
更識の家系の中では実力が隠れていたが本物だと俺は実感していた
その日の夕方からもゴム製のナイフを使って訓練を行っていた

「もう体が慣れてきたようだな」

「はい!」

簪は毎日のように訓練をしていて体力もかなりついてきた
さらに日中は彼女は完成したISの専用機を使った訓練も行っていたが、
夕方からの俺の訓練のおかげどうかわからないが
めきめきと頭角を露にしていた。

「それで本気でいってるのか。代表候補生をやめれば学園にはいられないぞ」

「そういう道を選べると思ったんです。陰に隠れて生きていく。お姉ちゃんは表立って動くけど」

「楯無は暗部でも表に近い。俺は陰で生きている。そんな生活をしていると窮屈だぞ」

2度と戻れないからこそ俺は慎重に選ぶように言った
大型船舶と同じで小さな選択でも、この選択は巨大なタンカーのようなものだ
エンジンを止めても急には止まらない。つまり引き返せないという事だ

「もう決めたことですから」

俺は分かったと答えた。ある訓練をする事にした
射撃訓練の中でもかなり特別のものだ。
簡単に言えば普段の射撃訓練用の的から、家族の画像が張られた的でもためらいなく撃てるか
家族すら犠牲にできるほど覚悟があるのかという事を示してもらう

「これから行う射撃訓練で少しでも戸惑いを見せたら、この道を走るのはやめておけ」

すると彼女はこういった。家族を撃てと言うんですねと

「察しが良いな。その覚悟はあるのか」

「もちろんです」

俺と簪は射撃訓練施設に向かうことにした
彼女が本気で身内ですら撃つことができるかのテストだ
迷いを見せたら自分が死ぬ事になる。時には冷徹な判断をしなければならない
そして射撃訓練施設で彼女にグロック17を渡すと最初は普通の的だった
途中から彼女の家族のものに変えた。それでも彼女は確実に殺せる急所に命中させた
同じようなことを何度か繰り返した。マガジンを何度か交換して合計100発近く撃ったが
普通のまとも家族の画像のまとも全部命中していた。確実に殺せるところに