IS学園 学園長執務室

「更識簪さん。本当に良いんですね?」

俺は簪を連れて学園長のところにいた。彼女を警備担当にさせるためだ。
ちなみに楯無も覚悟をしたのか余計なことを言ってくる事は無かった

「はい。覚悟の上です」

「わかりました。更識簪さん。あなたを一夏君と同様に警備担当者とします。ところでISは返還したのですか?」

「日本代表候補生を降りると伝えてから返還しました」

まさかこの数日でここまでの動きを見せるとは正直言って俺にも予想できなかった
だが彼女の目は真剣だった。本当に黒く汚れた世界に行くことを望んでいた

「ではこの書類にサインを」

内容をしっかりと確認したうえで、簪は書類にサインした

「一夏君、あとは君に任せるよ」

「分かっています。簪、訓練でもしようか。格闘術の」

俺が学園長室を出るとそこには楯無が待っていた
簪に先に行って準備体操でもしておくように指示する
彼女は分かったと言い、その場から離れていった

「もう1度言うけど、簪ちゃんを守る事は約束してもらうわよ」

「しつこいようだが、守っていく。せっかくできた相棒だ。共に歩むだけだ」

俺はそう言うと訓練室に向かった。その向かう道中で束さんに連絡した

「束さん、お願いがあります」

『いっくんからお願いなんてすっごく珍しい!』

「更識簪の専用機を用意してもらえますか?」

『彼女を落としたんだ。いっくんもよくやるよね』

束さんは何か面白そうな声で答えた
別に俺が望んだ結果ではない。それに落としたとは恋愛なんかしていない
俺に恋愛に興味はない。実力があるかないかだけだ

『とりあえず彼女の個人データをハッキングでもらうからできるだけ早く用意するね』

そう言うと通信が切れた。あとは簪の訓練だけだ
今日から簪はIS学園の生徒ではなく俺の相棒だ

『ピーピーピー』

衛星携帯電話に着信が入ってきた。相手は身元を明かしたくないところのようだ。
だがこの携帯番号を知っているのは限られる

『更識簪が代表候補生降りて、学園の警備部門に入ったという情報は確かなの?』

「その通りだ。今日から俺に相棒だ。ISも返しているから狙うなよ」

『まぁいいわ。候補生から降りるなら狙う理由はないわ。敵を少なくして効率よく攻めたいもの』

「そうか。それで次の舞台は何か教えてくれるのか?」

『そうね。学園に侵入して適当に混乱状態に落とすつもりらしい』

「混乱中にISのコアを奪うつもりだろう?」

『この作戦がうまくいけばの話だけど。それじゃね』

通話を終えた衛星携帯電話を耳元から離すと俺はため息をついた
まだまだショータイムはあるという事だ