俺と簪は定期巡回をしているとき携帯情報端末に侵入者のアラートが鳴った
現場に駆け付けると1頭のネコを見つけた。偶然にもセンサーに引っかかったのだ

「まったくはた迷惑な奴」

「知っているんですか?」

ああ、この猫は侵入事案の常連だ。1日1度は侵入してくる。
おかげで警報が鳴るたびに駆け付けないといけない面倒な奴だが
元々森で育った山猫らしいので放置しているのだ。

「こいつはここが好きなんだろうな。だが警備においては穴を作る訳にはいかないからな」

とりあえず、もう限界だから保護だなと俺は言う。
そこで簪にペット用のケージが警備室にあるからとってくるようにと伝えた
これ以上無駄な事に時間を割くわけにもいかないからだ
ここではペットの飼育環境では少し難しい
ならば引き取り手を探すためにそういう保護活動をしている彼らにお願いするのが最もいい解決法だ
俺は別に武術だけで物事を解決する事は無い。時には駆け引きでうまく取引を持ちかける事もある。
動物たちに罪はない。彼らは自然の中で育まれた大切な存在だ
新しい新天地でもなじむだろう

「一夏さん!ケージを持ってきました」

簪がそう言うとケージを地面に下ろした。しかし簪が誘導しても動きはないようだ。
そこで俺がケージを受け取りネコのそばに置くと、おいと合図をするとネコはすんなりとケージに入っていった

「すごいですね」

「まぁ、いろいろとやってくれたからな。簪、警備室にこの猫を届けておいてくれ」

俺は引き続き巡回に行くと伝えるとともに、警備室で監視カメラの映像をチェックしておくように指示を出した

「了解」

俺は引き続き巡回に戻った。それからしばらくして無線が入ってきた

『一夏さん、ココ・ヘクマティアルさんという方が来ていますが』

簪の言葉にいつものように会議室に通す事にした
ついでに簪の紹介をする事も忘れないでおこう
俺はいつものように会議室に向かう。途中で簪と合流した

「どういう方なんですか?」

「簪も知っておいた方が良い。ココ・ヘクマティアル。武器商人だ」

会議室に入るといつものようにココさんがスーツ姿で待っていた
すると早速、からかい始めた

「あなたが猟犬の弟子ね。初めまして。ココ・ヘクマティアルと言います」

「初めまして更識簪です」

それじゃさっさと取引を行いましょうと言うと大型のアタッシュケースが机の上に置かれた
俺はココさんにいつものように中身を確認してもと聞くと、構わないわと答えた
注文した商品を確認するとどれも新品で質の高い商品だ。問題ない

「では振り込みをしましょう。いつものように電子送金で」

ココさんは送金用の機械を置くと俺はカードを差し込み必要なデータを入力
すぐに送金は完了した。

「いつもありがとう。では私達はこれで失礼するわ」

簪は銃や弾ならここに保管されている物を使ったらいいと思いますがと聞いてきた
確かにそうだが。精密射撃においては高級品質の弾薬の方が安定的に発砲できる
だからこそいつも彼らに商品を納品してもらっているのだ。
もちろん、このお金は学園ではなく俺が自腹で出しているので誰にも文句は言わせない